Dragon Age: Inquisition から始めた人のためのセダスの社会知識②
前回からの続きです。
この記事ではDragon Age世界における魔法や魔道士について、なるべく簡単に説明しようと思います。作品をプレイしていれば自然と分かってくることではあるのですが、意外とややこしいため、理解の助けになれば幸いです。
(やや筆者の主観や推測が入っています。間違ってるところがあったらすみません)
Dragon Ageにおける魔法とは
魔法とは、多くのファンタジー作品と同じく、ものを燃やしたり凍らせたり、電撃を走らせたりする能力である。回復魔法についてはシリーズ作品ごとに大きな違いがあるのだが、癒やし手というものが存在する以上、プレイヤー側が使えなくとも回復の魔法は確かに存在していると思われる。
魔法を利用した技術も多く、武器などに属性を付与する「エンチャント」も魔法技術のひとつと思われる。魔法の能力を有していない方がこの技術には向いているらしい。
魔法は色々な組織、集団、地域によって研究され、それぞれに発達している。荒野の魔女が使う「変身」、デイルズエルフの伝承者が使う「テレポート」など他にはあまり見られない独特なものもある。
セダス史上で最も高度な魔法を使用していたのは間違いなく古代エルフだが、その知識や技術のほとんどが失われている。現存する古代エルフの遺跡や遺物、文献などから魔法を研究するものも多い。
今現在において最も高度な魔法知識を有しているのはテヴィンター帝国とみられる。また、セダスには未知の組織や存在も多いため、知られざる魔法も多くあると思われる。
フェイドとヴェイル
Dragon Ageの世界観を語る上で欠かせないのが「フェイド」そして「ヴェイル」である。これらは魔法と非常に深い関わりを持つ。
フェイド
ドワーフ以外が眠るときに訪れる夢の世界であり、精神世界、あの世の一歩手前などとされている。覚醒したままフェイドに行くことが可能なのが魔道士である。フェイドには精霊や悪魔が存在している。
通常魔道士がフェイドへ行くには「リリウム」が必要である。リリウムとは特殊な鉱物であり、魔道士以外の者にとっては毒物である。リリウムは主にドワーフが採掘している。リリウムを使用せずにフェイドへ入ることができる魔道士は「夢見るもの」と呼ばれる。古代のエルフはこの能力を有していたようだが、現代ではそのような魔道士は非常に数が少ない。
アンドラステ教ではフェイドに「黄金の都」があり、そこに創造主がいるのだとされている。ブライトの始まりもそこに関係しているとされる。*1
ヴェイル
フェイドと現実世界を隔てるもの。これが裂けると、そこから現実世界に悪魔が出てきてしまう。これまでもヴェイルが裂けることはしばしばあったが、Inquisitionではもっと複雑なことが起きているようだ。
精霊と悪魔
フェイドには様々な精霊や悪魔が存在している*2。かれらはどうやら感情と深く関係しているようだ。
悪魔であれば「欲望」「怠惰」「憤怒」など一応分類はあるのだが、どこからが精霊でどこからが悪魔か、それほどはっきり決まっているわけではないように思える。ただ、悪魔と呼ばれる存在は明らかに生命に執着していて、だからこそヴェイルが裂けたときにこちら側に出てこようとする。
生命あるものに執着する悪魔は、フェイドと繋がりの深い魔道士を通してこちら側の世界に出てこようとする。そして、肉体を得ようとするのだ。そうして肉体を乗っ取られた者を「悪鬼」と呼ぶ。肉体を乗っ取られるのは魔道士に限った話ではなく、魔法を使えない者や猫でさえ悪鬼と化すが、フェイドと繋がりやすい分魔道士のリスクは高い。また、悪魔が魔道士に契約を持ちかけることもあるし、力を得るために自ら悪魔と契約する魔道士も存在する。
ブラッドマジック
悪魔と契約した魔道士が手にする魔法、それが「ブラッドマジック」である。この魔法を使う魔道士は「ブラッドメイジ」と呼ばれる。通常の魔法であれば「マナ」と呼ばれる精神力を使うが、ブラッドマジックはその名の通り血液を使用する非常に強力な魔法である。使用する血液は自分のものでも他人のものでもよい。この力があれば、他人の心を操ったりすることさえ可能であるという。
ブラッドマジックはセダスのほぼ全域で忌み嫌われており、アンドラステ教会はこの魔法の使用を禁止している。唯一グレイウォーデンだけがこの魔法を合法的に使用することができる。*3
社会から見た魔道士
もう察していると思うが、魔道士はおおむねセダスで恐れられ、忌み嫌われる存在である。アンドラステ教会の経典「光の聖歌」にはこうある。
「魔力は人に仕えるものであり、決して人を支配してはならない」
アンドラステ教においては魔道士はすべてサークル・オブ・メジャイでテンプル騎士の監視下に置かれるものであり、サークルに属さない魔道士は「背教者」と呼ばれる。魔法の能力があると判明した時点で家族から引き離されサークルに連行される(大抵は子供のときに発覚する)。魔法の力を隠して生活するものもいるが、テンプル騎士に嗅ぎつけられずにいることは簡単ではない。魔法そのものを使いこなせなかったり、悪用するのも危険だが、なによりも人々は強大な力を持つブラッドメイジや悪鬼を恐れている。だからこそ対魔道士に特化したテンプル騎士が必要だったのである。
また、遥か昔にセダスを支配していたテヴィンター帝国の大賢者たちのような過ちを、二度と繰り返してはならないということでもある。セダスを幾度も脅かしてきたブライトは大賢者たちが引き起こしたものとされているのだ。このような理由により、セダスの多くの社会で「魔道士は自由にあるべきでない」という考え方が強い。例外的にグレイウォーデンであれば魔道士はサークルに属する必要がない。
北方にある現在のテヴィンター帝国においては、今も魔道士が支配階級にあり、賢者を名乗っている。現在のテヴィンターはアンドラステ信仰だが、他地域のアンドラステ教会とはまた別組織の教会を持っている。おそらく同じ聖歌を経典にしているが、解釈が異なるようだ。
アンドラステを信仰しないデイルズエルフやアヴァーなどの民族においては魔法が文化的に重要視されており、危険性は認識しているもののそこまで忌避されていない。一方クナリ族は非常に厳しく魔道士を管理している。*4
サークル・オブ・メジャイにおける魔道士の暮らし
前述の通り、テヴィンターを除くアンドラステ教において魔道士はすべてサークルの管理下におかれることになっている。魔法の力が発覚すれば強制的にサークルに連行される。自由にサークルの外に出ることはできない。
サークルには各魔道士の「聖句箱」というものが保管されており、これには魔道士の血液が入れられている。サークルから脱走した場合、テンプル騎士はこれを使って魔道士を追跡することができる。*5
魔道士には一人前になるための儀式があり、この試練を乗り越えられない者には死が待っている。また、危険と判断された魔道士は「静者」にされることがある。静者化が施された魔道士は魔法の力を失い、感情も失う。静者は感情に乏しく従順で、エンチャント技術に長けるため、管理側にとってはメリットが大きい。魔道士たちにとってはときに死より恐ろしいことであるが。
サークルは各地に存在しており、監視の厳しさなどはそれぞれに異なるが、おおむね監獄に近い。もちろん研究に没頭したいものにとっては都合のよい場所であったかもしれない。
一定以上の地位であればかなり自由に行動できる開放的な方針のサークルもあったらしいが、おそらくそこまで自由なのは少数派だろう。フェレルデンでは自由を求めてブラッドマジックに手を染めた者たちがサークルを崩壊させかけたし、カークウォールのサークルでは騎士団長メレディスによって非常に厳しい体制が敷かれ、それが結果的に大規模な魔道士の反乱に繋がった。
これらのことはInquisitionでは既に過去であり、サークルは完全にその機能を失い、魔道士たちはもはやすべてが背教者となって外に散らばった。テンプル騎士たちは教会から離れ、サークル監視の役目を失って勝手な魔道士狩りを始めている。教皇が死に、アンドラステ教会は権威を失いつつある。これがどれほど混沌とした状況であるか、想像してもらえるだろうか。Inquisitionにおけるセダスは無法地帯になりつつあるのである。
…少々長くなり過ぎましたが、だいぶ理解できましたでしょうか。自分もちょっと忘れていたので、よいおさらいになりました。本当、間違ってるところもあるかもしれませんので、そこらへんご了承くださいね。詳しくはゲームをプレイして、コーデックスをじっくり読み、登場人物の話に耳を傾けてください。すべてを把握するのは…とても難しい!そんなゲームです。
英語が読めれば、The World of Thedas を読んでみるのもよいでしょう。自分は英語が読めなくて今勉強中ですけど挫折しそうです。以上、無真獣でした!よい旅を!
*1:ちなみにドワーフは本来夢を見ることがなく、魔法を使うこともできないが、何かしらの力を借りればフェイドに入ることは可能である。
*2:創造主によって最初に作られたのは精霊だったが創造主はそれに満足せず、世界と生命を創造し、生命に嫉妬した精霊が悪魔になった…という記述があるが、アンドラステ教的な見方であり、おそらく事実としてそうだというわけではない。
*3:ただし見たところブラッドマジックに手を染めている魔道士は結構な数いる印象である。
*4:アンドラステ教的にはサークルに属さない魔道士はすべて背教者である。異民族に対してサークル収容を免除するような決まりがあるかは定かでない。おそらく異民族であっても魔道士を連行することができるが、実際にそのような描写は今のところ見られないし、抵抗にあうのは明らかで、理由がなければわざわざ兵を出すこともないだろう。居場所が分かっていても「見逃している」ものと思われる。ただし町にいて魔法など使えば異民族であっても見逃されたりはしないだろう。
*5:血液を使って追跡をするだなんて、え、それって禁じられたブラッドマジック的な技術と違うの?テンプル騎士さん?とつっこみたくならないだろうか。まあ、なんか、そういうことなんじゃないかな?と自分は思う。
Dragon Age: Inquisition から始めた人のためのセダスの社会知識①
セールもありましたし、これからDA:Iを始めるという方も多いでしょう。新作の話も出ていますし、思い立ったので、Dragon Ageの物語の舞台「セダス」についての基本的な知識をまとめておこうと思います。これを知っておくとDA:Iの物語の流れを把握しやすくなるかと思います。いきなり複雑過ぎてわけがわからないよ!となってる方におすすめです。(やや筆者の主観が入っています。間違ってるところがあったらすみません)
セダスの代表的組織
アンドラステ教会
創造主の花嫁アンドラステを信仰する教会。アンドラステは人間であり、英雄。セダスの大抵の国ではアンドラステを信仰している。女性を教皇とする(テヴィンターにおける教会では男性を教皇とする)。
Inquisitionの時点ではサークルもテンプル騎士団も失い、さらに教皇を失い、教会の状況は危機的。
テンプル騎士団
教会に属する騎士団。サークル・オブ・メジャイにおける魔道士たちのお目付役。そのため対魔法に特化した能力を持つ。
だったのだが、Inquisitionの時点ではサークルは崩壊、騎士団はまとまりを失って教会からほとんど離れてしまったような状態。野良テンプル騎士が魔道士狩りのために各地で暴れている。
サークル・オブ・メジャイ
教会に属する、魔道士たちの集うサークル。魔法知識の探求の場でもあるが、実質魔道士を隔離するための施設。魔道士たちにとっては牢獄に近いものであったり、保護してくれるシェルターのようなものであったり、なかなか複雑な場所。
Inquisitionの時点では魔道士たちは反乱を起こしており、サークルは崩壊している。
セダスの主な国や地域
オーレイ
Inquisitionでの舞台となる国のひとつ。セダス大陸の南西に位置する大国。現在一番勢力のある国。何もかもとにかく華美な雰囲気。貴族の皆さんは「グランドゲーム」と呼ばれる駆け引きを重要視する。ゲームといっても遊びとして楽しまれているものではなく、政略的なもの。人が死ぬことすらある。
フェレルデン
Inquisitionでの舞台となる国のひとつ。セダス大陸の南東に位置する。数十年前までオーレイの占領下にあったため、オーレイに対してあまりよい感情を持っていない人が多い、と思われる。「フェレルデンは茶色い」と誰かが言ったが、確かにそんな雰囲気。マバリと呼ばれる軍用犬がいる。フェレルデン人と犬との関係はとても深い。
Inquisitionから約10年前となるDragon Age: Originsでの主な舞台。「ブライト」と呼ばれる災厄の起きた場所。ブライトとは「アーチデーモン」と呼ばれる存在がダークスポーンというモンスターを率いて侵略してくるというもの。これらを打ち倒すために結成されたのが「グレイウォーデン」である。ブライトは「フェレルデンの救世主」(Originsの主人公)によって終焉を迎えた。Dragon Age2の主人公ホークはこのブライトから逃れるために家族を連れてカークウォールへと向かった。
自由連邦
セダス大陸の東に位置する。カークウォール、スタークヘイブン、タンターヴェイルなどの都市からなる。
カークウォールはDragon Age2での主な舞台。前述の通り「カークウォールの英雄」ホークがブライトから逃れ難民として辿り着いた都市。騎士団長メレディスによる魔道士たちへの弾圧が激しく、サークルの魔道士たちは非常に厳しい状況におかれていた。
反乱する魔道士たち、教会に背くテンプル騎士たち、謎の赤いリリウム…Inquisitionでの混沌とした状況を引き起こすきっかけの出来事は大体ここで起きた。そしてその出来事には大抵カークウォールの英雄(とヴァリックを含めた仲間たち)が、あまり良くない意味で関わっている。
デイルズ地方
Inquisitionでの舞台となる地域のひとつ。セダス大陸の南に位置する。オーレイの勢力下にあるが、内乱で今は荒れている。
遠い昔、ここにはエルフたちの王国があった。古代エルフが栄えていた頃とは時代がまったく違うので注意。古代エルフ文明が滅びたずっと後の時代、テヴィンターから解放された奴隷のエルフたちが作った国である。
この王国は人間の有徳軍によって滅ぼされた。これによってエルフは国を失い、人間社会で「シティエルフ」として生きることとなった。それを望まないエルフたちは移動の民「デイルズエルフ(デイリッシュ)」となった。
有徳軍がデイルズを滅ぼすきっかけになったのは、レッドクロッシングという村での出来事だったが、人間に伝わっているものとデイルズエルフに伝わっているものとで内容が違う。真実はサブクエストで判明するので、探してみるといいだろう。
ちなみに作中に登場する「デイルズの自由戦士」はデイルズエルフとは関係ないので注意しよう。単にデイルズ地方にいるゴロツキみたいなものである。
オーズマー
フェレルデンの地底に広がるドワーフたちの都市。非常に厳しい階級制度がある。かつてはセダス全域に都市があったが、ほとんどダークスポーンに滅ぼされてしまった(ダークスポーンは基本地下にいる)。今もセダス全域に「地底回廊」が残っている。
テヴィンター帝国
セダス大陸の北に位置する。遥か昔にはセダスを支配する強大な国だった。魔道士が支配的な権力を持っていたり、奴隷制度があったり、他の地域とは常識が大きく異なる。悪の象徴として語られることも多いが…この国の詳細はここの出身者が語ってくれるだろう。
アンティヴァ
セダス大陸の北東に位置する。黒カラスと呼ばれる暗殺者集団がいることで大変有名。ここ出身の人たちは現実で言うところのイタリア訛りが魅力的だと思う(主観)。
ネヴァラ
セダス大陸の中央あたりに位置する。土葬であり、死者との関わりが深い国(他の大抵の国では火葬が主流だと思われる)。ドラゴンハンターの歴史がある。ペンタガースト家はこの国の王家。
どうでもいいが筆者はカサンドラ・ペンタガーストが非常に好きだ。若き日の彼女を主役にした映画があるので、気が向いたらどうぞ。かつての彼女の凄まじい強さを目にすることになるだろう。
セダスの主な種族・民族
人間
説明不要の圧倒的多数派。もちろん、国や地域によって文化や人種が違う。
- アヴァー人
独特の信仰や文化を持つ民族。ルーツはフェレルデン人と同じだったはずなので、別の種族というわけではない…と思う。Inquisitionに登場する。DLC「ハコンの顎」で詳しく知ることができる。
エルフ
前述の通り、シティエルフとデイルズエルフがいる。古代エルフは魔法に優れ不死であったとされるが、現在のエルフは耳の形以外たぶん人間とそれほど変わらない。
- デイルズエルフ
小規模な集団に分かれて各地を移動しながら暮らしている。伝統的に魔法を重要視しており、各部族を率いる伝承者は必ず魔道士である。かれらが大きな集団を作らず分散して移動し続けるのは、テンプル騎士の魔道士狩りを避けるためでもある。また「ハラ」と呼ばれる生き物を重要視する。デイルズエルフは「造形主」と呼ばれる神々(エルガナン、ミサール、フェンハレル、ダーサメン、ファロンディーン、アンドロール、ギランナン、ジューン、サイレイズ)を信仰している。
- シティエルフ
基本的に各地にある異民族地区と呼ばれる場所に住んでいる。かれらはエルフの伝統もある程度守りつつアンドラステを信仰する(アンドラステ信仰を受け入れた者たちにのみ、慈悲として人間社会で暮らすことが許された)。
ちなみに、人間との混血も結構ある。人間とエルフとの子供は耳の先が丸く、ほぼ人間と区別がつかない。
デイルズエルフについてはこちらの記事もどうぞ(多少のネタバレになる可能性があるので注意)。
ドワーフ
背が低くがっしりした体型の種族。魔法を使うことができないが、魔法耐性が高い。鍛冶や細工、エンチャントと呼ばれる技術に長けている。前述の通り、ほとんどのドワーフが地底で暮らしているが、地表にいる者も多い。非常に階級に厳しく、一度地表に出たドワーフは、地底に戻って暮らすことを許されない。
ドワーフの信仰は神ではなく「パラゴン」であり、これは偉業を為した人物に与えられる称号である。
死の軍団と呼ばれる集団が地底回廊で常にダークスポーンと戦っており、ブライトの時期以外はドワーフが地底でダークスポーンを食い止めているということができる。
クナリ
大柄で巨大な角を有する種族。角が無い者もいる模様。理性や合理性を非常に重んじる。かれらは神を信仰しない。「キュン」と呼ばれる教え、思想、あるいは哲学のようなものに従って行動する。これに従わない「反社会的」な者たちを「タル・ヴァショス」と呼ぶ。また、魔道士に対しての扱いは人間たちのそれより遥かに厳しい。具体的にキュンがどのようなものかは、クナリに聞いてみるといいだろう。
デイルズエルフについての情報、個人的見解あれこれ~その3~
この記事は旧ブログからの再掲です。
引き続きデイルズエルフについての雑多な情報や個人的な見解を。今回はDA:Iの物語に深く関わってくるエルフの神々など、デイルズエルフの信条に関わるものです。彼らはどんな神に祈り、どんな物語を聞いて育つのか。より深いデイルズRPの助けになれば幸いです。
うろ覚えの箇所も多く、すべての会話、コーデックスを確認したわけではないので、正確性は保証出来ません。基本的にネタバレはありませんが、軽微なネタバレを含む可能性はあります。気になるのであれば、おすすめしません。
【エルフの神】
デイルズエルフが信仰している古代の神々についてだが、伝承や歌などが多く存在し、また謎も多い。現在残っている伝承は、長い時間の中で大きく変えられてしまっている可能性が高い。単に神格化された信仰の対象というだけではなく、実際に存在した、あるいは今も存在する人智を超えた未知の何かである。
ここでは、一般的に知られていること、現在のデイルズエルフたちが考える、物語や宗教としてのエルフの神々について簡単に紹介する。
エルガナン
太陽と大地の間に最初に生まれたと言われている。太陽を沈めたとされる。全能の父、復讐と雷の神とも呼ばれる。そのすべてを破壊する激しさゆえに、復讐をエルガナンに願うことはないのだと言う。
ミサール
偉大なる守護者と呼ばれる。エルガナンが沈めた太陽を復活させたのがこのミサールであるとされる。回復や公正を司る女神(ちなみに、DA2の回復アイテムとして、ミサールの祝福というものがある)。正しいものには寛大だが、正しくないものには激しい罰を与える一面がある。裁きを願うなら、この神だろう。
フェンハレル
戦慄の狼、ドレッドウルフとも呼ばれる。裏切り者、反逆の神とも。古い神々を追いやったのはこのフェンハレルだと言われている。恐ろしい存在としてよく語られる。デイルズの間では魔よけとして狼をモチーフにすることがあるようだ。
ダーサメンとファロンディーン
このふたつの神は共に語られることが多い。双子の兄弟であるとも言われる。ダーサメンは秘密の管理者、ファロンディーンは死の友などと呼ばれている。デイルズは死者を弔うとき、ファロンディーンに祈る。
アンドロール
狩猟の女神である。伝令にフクロウを使うこともあるらしい。狩人が祈るとしたらこの神だろう。
ギランナン
すべてのハラの母、最初のハラとされる。道案内を司っていると見られる。ハラたちはギランナンの声を届けてくれるのだと言う(ハラは神を持つ獣、などとも言われる)。デイルズが移動する際、アラベルをハラに引かせるのはおそらくこのためである。
ジューン
工芸と建築の神である。職人が祈るとしたらこの神だろう。
サイレイズ
生活の守り手であり、アンドロールの姉妹であるとされる。
これらはあくまで現在のデイルズが信仰している神の話であり、伝承にはいくつかの真実も含まれているだろうが、古代にあった信仰、実際の存在とはまったく違う形になっている可能性が高い。ちなみに、デイルズエルフが神に祈るときには「造形主(Creators)」という言葉が使われる。
この古代の神々については、DA:Iのメインクエストで訪れることになるミサールの神殿に興味深いものが多く残されている。同行する魔女モリガンに尋ねてみるのもいいだろう。そして物語を進めていけば、その知られざる真実の一面を見ることになる。
【デイルズの英雄たち】
DA:Iで訪れることが出来るエメラルドの墓場には、デイルズ王国に命を捧げた英雄たちを偲ぶための木が植えられている。古代エルフの時代のものではなく、アンドラステによって解放された後にできたデイルズ王国時代のものであることに注意。
ここに記されているのは、デイルズ王国のエメラルド騎士団として有徳軍と戦った者だけでなく、騎士団の創設者や失われた技術の復活に貢献した者たちも含まれる。
マサリン
タナレス
ブリアソス
ヴァーレル
リンディラナエ
エルノラ
ララフェリン
カルマー
スラン
この中に書物でよく見かける部族名のララフェリンという名前があるが、これはハラムシラル(現在はオーレイ領だがかつてはデイルズ王国の首都であった)の貴族の名である。デイルズの王国にも身分制度があったようだ。ララフェリン部族は自分たちがララフェリンの子孫であると主張しているらしい。部族名についてはここでも書いたが、その他の部族の名前も祖先に関係している可能性がある。
リンディラナエとは、対デイルズ有徳軍と戦ったエメラルド騎士団の一人であり、最も勇猛な剣士であったと言われる。彼女はイヴァヌラという剣の使い手で、最後まで有徳軍に抗い続けたのだと言う。デイルズエルフのみならず、教会側にもその名を残している。
こうしたデイルズ王国時代の英雄たちの物語は、現在のデイルズエルフの間でも語り継がれていると見られる。これらをふまえて、DA:Oのデイルズの語り部の話に耳を傾ければ、理解が深まるだろう。
興味があれば、DA:Iにてエメラルドの墓場北東付近を探してみるといい。その先の遺跡には騎士達の墓がある。そこでは悪名高いレッド・クロッシングでの虐殺(エルフたちがレッド・クロッシングの村を襲って村人を虐殺したというもの。デイルズ王国滅亡に繋がるオーレイとの戦争の引き金になった)について、ひとつの真実が記されている。
また、この付近ではデイルズを追い求めて力尽きた旅の学者の亡骸なども見ることが出来る。デイルズエルフの部族に出会うことの困難さがうかがえるものである。数々の著作を持つ有名な修道士、ジェニティヴィでさえ、デイルズを取材するのは困難だったそうだ。
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これでDragon Ageのデイルズエルフについての記事はひとまず終了とする。
DA:Oからプレイしていれば自然と大抵のことが分かってくるのだが、注意して探さなければ分からないことも多く、デイルズエルフが具体的にどんなものか、エルフの歴史とは、神とは、など意外に全体を把握しにくいのではないか、また自分も理解できていないところが多いことに気がつき、こうしてまとめることになった。
DA:Iからこのシリーズを始めた方にとっても、デイルズエルフの背景を理解する助けになれればと思い、できるだけ簡単に、分かりやすくすることを心がけたつもりである。
本当にくどいが、間違いが多くあると思うので、そこだけは注意してほしい。Dragon Ageシリーズには膨大な情報があり、分岐も多く、すべてを確認するのは至難のわざである。しかも、自分は英語が苦手であり資料集や小説は未読である。英語版のWikiには多少目を通したのだが、正直言ってどれくらい読み取れたか怪しい。
デイルズエルフをもっと知りたいのであれば、Dragon Ageに深く浸りたいのなら、ぜひゲーム本編で調べ、会話し、読んでほしい。Originsでも、2でも、Inquisitionでもいい。
宮廷魔道士ヴィヴィエンヌと、修道士ジェニティヴィ、フェンハレルに敬意を込めて。
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この記事はDragon Age: Inquisition1周目クリア後にまとめられたものであり、十分な情報を得ないまま書かれたものです。また、再掲にあたって一部を加筆修正しました。
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