無真獣の巣穴

らくがきとかゲームとかなんかそんなん。

Dragon Age Inquisition プレイ記録⑨ 続々・ロマンス「アイアン・ブル」人物像について

※この記事にはネタバレが含まれます。

 


引き続きアイアン・ブルとのロマンスについて。前回は思わぬ展開に中の人がカッとなってしまった。しかし本当にあの場面はいらないと思う*1

 


気を取り直そう。とにかくアイアン・ブルにドラゴンの歯のネックレスを渡し、「まれな」関係になることができたようだ。そして「カダン」と呼んでくれるようになる。「愛しい人」の意味だそうだ。自分の記憶によればその言葉には親愛の意味は込められているが、恋人のみに使うものではなかったような気がする。何度か使われている場面があったはずだ。そもそも恋愛というものがおそらくクナリに存在しないため、恋人専用の呼びかけの言葉がなかったりするのだろうか。というか、そういえば英語の「my love」なども別に恋人にだけ限定して使われる呼びかけではないのだった。この場合クナリが特別なのではなく、日本語にこれに相当する言葉がないということか。

 

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アイアン・ブルとはどんな人物だったか。それは「クナリ」を理解しなければ難しい。

今までクナリ、クナリと呼んできたが、厳密には「クナリ」とはキュンに従うもののことを指し、種族を指しているわけではない。アイアン・ブルのように角のある大柄な種族には「コシス」という名称があるようだが、実際当事者もあまり使っていないし、やはりクナリと呼ぶのが一般的だ。Originsのスタンには角がないように、コシスに必ず角があるというわけではなく、また角がないからといって扱いが変わったりするということもこれまで見た限りはなかったように思う*2。クナリにとって種族としての見た目の特徴はそれほど重要ではないのかもしれない。実際、種族にこだわりがあるわけではないようで、キュンにさえ従えばかれらはエルフでも人間でも受け入れる*3。特にテヴィンターで奴隷として扱われるエルフには、役割に従えば平等に受け入れてくれるキュンは魅力的に映るようだ。ただし選択的な交配が行われているところを見ても身体機能はおそらくかなり重視されている。

 

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↑タマスレンがコシスとドラゴンを交配した… という迷信の話。さすがにそんなことは… しかしクナリの科学は結構進んでいるらしいぞ。いやしかし。

 


今回のアイアン・ブルはキュンから離反させてしまったので、厳密に言えばクナリではないことになる*4。彼はいまやタル・ヴァショスだ。

ブルはタル・ヴァショスを強く嫌っている。キュンに従うクナリなら一般的に皆そうだが、彼の場合それはセヘロンでの体験によるところが大きいようだ。セヘロン島はテヴィンターとクナリが激しい戦いを繰り広げている地域で、さらにタル・ヴァショスや原住民の反乱軍も加わって泥沼の様相となっている。そこでの活動は長くて2年が限界だと考えられていたようだが、ブルはベン・ハスラスとして10年近くも活動していた。そこで見たタル・ヴァショスは残忍であり、かれらは子供たちやブルの部下、さらに長年の友人を殺した。最悪の事態を目にしたとき、彼は怒りで我を忘れてしまった。そしてそれを危険視し、自ら「再教育」を受けたのだという。

クナリはキュンに従いさえすればどんなものでも基本的に殺しはしない。たとえ囚人であってもだ。しかし従わないものは「再教育」を受けることになる。これは拷問による洗脳に近い。またかれらは薬物を使って精神を破壊することもある。それを自ら受けに行ったのだから、ブルの怒りがどれだけ激しく、抑えるのが難しく、その途方もない怒りを自ら恐れていたかが分かる。

彼は民間人を殺すのを嫌い、セヘロンの原住民とも親しくていたようだ。審問官と一緒に戦っているときの台詞からは難民を傷つけるものを憎んでいることがわかるし、貴族がまともな統治をしないために貧しいものが盗賊をやるしかないことに理解を示したりする。そしてキュンに従わず山賊として民間人を殺すタル・ヴァショスを強く嫌っている。セヘロンでの光景を思い出すのだろう。

ちなみにセヘロンにいた頃の名前は「ヒスラッド」で、それは「幻想を生み出す者」や 「嘘つき」を意味するらしい。彼は見た目からは想像もつかないほど観察力が鋭く、嘘をつく能力に長けているから、だそうだ。まさに密偵向きと言える。クナリは固有の名前を持たず、特徴や役割を表す名前で呼ばれるため、役割が変われば名前も変わる。「アイアン・ブル」はタル・ヴァショスを装って活動するために自らがつけた名前だそうだ。

タル・ヴァショスを嫌うブルがタル・ヴァショスになってしまったのは不本意だろうが、クナリはキュンに従わないものを許しはしない。元々ブルは忠実にルールに従う性質ではなかったらしい上に、一度は我を忘れて暴走している。クナリを見捨てて突撃兵を生かしたことが決定打になり、離反したと見なされたのだろう。しかし、だからといってアイアン・ブルからキュンが突然消えるわけではない。やはり行動のあらゆるところにキュンの考え方が存在している。

 


キュンはなかなか理解の難しいものではあるが、個ではなく全体を重要視しているのは確かだ。「全体を一個の生き物として考えている」という例えは非常にわかりやすい。キュンに従う人々は全体にとっての手足のようなものだ。かれらはすべてのものに価値があると考えているが、それは「手足として」であって、それぞれの個を尊重することはない。クナリという全体が一個の生き物であり、手足はそのために動くことを求められている。そこから勝手に離れたり「魂」である司祭職*5を無視した行動を取ることは許されない。「再教育」は手足としての機能を取り戻すための「治療」である。クナリはどんなことをしたものであれ簡単に処刑したりはしないようだが、それはおそらく自らの手足をやすやすと切り落とさないのと同じことだ。使い道のある限り、切り捨てはしないのだろう。キュンはすべてのものに役割を与える。キュンに従うものは注意深く観察され、もっとも適切と思われる役職を与えられる。おそらく当人が強く拒絶しているようなことをさせたりはしないだろう。強く拒絶している時点で「適切」ではないからだ。ただ求められるのは、「全体のために」なんらかの働きをすることだけだ*6

キュンはクナリ以外の奴隷や農民などの貧民に一定の需要があるようだが、役割さえ果たせば平等が得られるのは、やはり理不尽な労働を強いられているものにとっては魅力的だろう。そこには秩序があり、安定があり、種族や見た目で判断されることもなく、自分に見合った仕事を与えられ、それさえ果たせばひどい扱いを受けることはない。戦いに向かないものを戦いに行かせることもおそらくない。しかし徹底した全体主義と合理主義であり、そこから逸脱すれば生きてはいけない。たとえば、指示を無視して自分の保身のために行動したり、全体より仲間を優先して助けてしまったり、だ。クナリが個人同士での深い関係を結ばない理由がなんとなく分かってくる。

クナリには血の繋がりによる家族は存在しない。生殖はタマスレンによって管理されている。生まれた子供は集められ、タマスレンが育てる。自分が誰の子供かを知ることはないのだそうだ。タマスレンは教師でもあり、クナリの価値観を徹底的に教育し、そして注意深く観察してどのような役割に当てるべきかを見る。このようなシステムである以上、恋愛や結婚は存在のしようがなさそうに思える。それでも伝統としてドラゴンの歯の話がある以上、やはり個人間の深い感情がまったくないわけでもないのだろう*7。しかしそれは我々が知っているような恋愛感情ではないだろうし*8、そもそも恋愛というもの自体、大部分は文化によって形成された価値観なのだ。そして個人同士の深い関係がどれだけ強かろうと、クナリにおいてはキュンが一番に優先されなければならないのは間違いないだろう。よって、タル・ヴァショスにならない場合のアイアン・ブルとどれだけ関係を深めたとしても、彼は最終的にはキュンを優先するのだ。

 

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↑ベン・ハスラスの技能のひとつとして、マインドコントロールのようなものがあり、それを審問官との性行為に使っているらしいのだが、拘束プレイの一貫として使っているのかと思っていたらなんだか苦悩を忘れさせるために使っているぽくてやさしいのだった。


アイアン・ブルとの肉体関係は、最初の段階では深い精神的つながりがなく、「性的なアトラクション」を提供しているようなものだと以前に書いた。それについて対価を求められなかったのは、こちらが居場所を提供しているからだろうか、と思ったのだが、しかしそれがキュンの考えに基づいた行動だと考えると理解できるような気がする。つまり、審問会や審問官は世界にとって必要な存在で、審問官が求める癒しをブルは与えたのであり、必要な役割を果たしただけにすぎないのだ。審問会の他のものにもそれを提供しているのは、かれらが審問会のために仕事をする中でストレスをためていて、その疲れを審問会のために癒した、それだけだ。審問官と関係を持つ間に他のものと関係を持たないのは、それが審問官の求めることだからだろう*9。そもそも、クナリは人間社会にあるような通貨を持っていないらしい。クナリが一個の生き物だとすると、栄養は適切なところに適切な分だけ送る。対価を持っているものに多くを与えるなどあり得ないことだろう。

もちろんブルの個人的好みや快楽がまったく存在しないわけではないし、彼は酒が好きだし赤毛が好きだという嗜好を持っていることも間違いない。必要だからという理由で結局自分の欲求を満たしている側面がないとは言えないだろう。しかしそれでもやはり奉仕として機能する限りで快楽を自分に許しているのであって、間違っても享楽主義ではない。

 


アイアン・ブルのこのような「奉仕」の姿勢はキュンの考え方からきていることは間違いないが、ブルの個性がまったく関係ないわけではない。彼は子供の頃からまわりへの気配りを欠かさず、体調の悪いものがあればすぐに気づいて報告していたらしい。まるで保護者であるかのように。突撃兵に対してもひとりひとりに気を配っているのがよく分かるし、皆の意見をよく聞いている。審問官の一押しさえあれば、キュンに背いて自らの部下を守りさえするのだ。

実のところ、アイアン・ブルの個性はキュンとは相性があまりよくないように思える。彼は子供の頃から、問題解決のためにルールから逸脱することがあったようだ。セヘロンでは仲間や子供たちのために我を失って命令を無視している。おそらく、ブルは全体の利益やルールに必ずしも忠実ではなく、個を尊重する傾向にある。そしてだからこそセヘロンの地元住民にさえ親しまれ、はみ出しものを集めた突撃兵のよき指揮官であり、その凶暴そうな見た目にかかわらずネヴァラやオーレイでも人気を得てきた。その一方で密偵として報告を欠かさない実直さがある。そんな面がタル・ヴァショスを装ったベン・ハスラスとしては有用だったのだろうが、やはり危険視されてもいたからこそ、その役割を与えられていた。アイアン・ブルのパーソナリティはキュンによって形作られながら、根本的にはキュンの下で生きるのが難しい、クナリの「変わり者」なのかもしれない。

 

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↑心配りの塊。

 

 

今回はアイアン・ブルという人物について考えてみた。コーデックスや会話、The World of Thedasに書いてあることを参考にして推測交えてまとめてみた感じだが、取得していないコーデックスも多いし、会話は記録がなくてうろ覚えのことも多い。The World of Thedasについてはほぼ機械翻訳に頼っているため誤訳や翻訳抜けで正しく読めていない可能性がある。不正確な点があるかもしれないことをご了承願いたい。

 

 

ここらへんでロマンスについては終わりにしたいと考えていたのだが、……まだ書くことがある!次回をお楽しみに(してる人いるのか?)。

 

 

 

 

*1:まあしかし今回のプレイに限っては、カサンドラに本気かどうか問われるのは展開としては自然だったかもしれない。なにしろ散々カサンドラを誘惑して振られた直後にブルと寝てるのだから。もちろんアトリアさんの誘惑は冗談などではなく、全部本気である。まあ、恋愛感情という意味の本気ではないと思うが…。

*2:正直OriginsからDA2までの間にクナリの設定が若干変わったのではという気も。ただしクナリのブルードマザーから産まれるとされているオーガには初登場時から角がある。

*3:ブルの話を聞いていると、おそらくトランスジェンダーでもキュンに従いさえすれば受け入れられるようだが……性役割がかなり強固そうなのがネック。

*4:キャラメイクではクナリの主人公も作れるが、説明を見る限りタル・ヴァショスという設定であるため、やはり厳密に言えばクナリではないのだろう。

*5:DA2に出てきたアリショクなど。クナリのトップは3人いるらしい。

*6:個人としての権利が尊重されない中で、全体のためにまったく貢献できない状態の人がいたらどうするのだろう、というのが気になる。おそろしいが。

*7:ブルの作り話だった可能性もなきにしもあらずか?

*8:まあ中の人は恋愛感情なるものがどんなものか知らんけど。

*9:今回のアトリアさんは実はそうではなかったのだが。文化によらないそんなセクシャリティも想定してほしかったところはある。

Dragon Age Inquisition プレイ記録⑧ 続・ロマンス「アイアン・ブル」

※この記事にはネタバレと中の人の怒りが含まれます。

※やや性的な画像があります。

 

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引き続きアイアン・ブルとのロマンスについて。最初は肉体のみの関係で、それだけでもまったく構わないのだが、とりあえず精神的にも深い関係を目指すことに。ドラゴンの歯を割って作ったネックレスを渡すことで「本気」を示すことができる。

ちなみに審問官と関係を持っている間は他の人とは性交渉しないらしい。まあ、色々気をつけるべきことをクリアしてくれたら我が審問官のアトリアさんは相手が誰と関係持ってようが別に気にしないと思うが…

 


ドラゴンの歯はいわゆるハイドラゴンの歯だ。当然、戦って殺さなければ手に入らないし、そう簡単には殺せない。ハイドラゴンは成長したメスのドラゴンで、そう滅多に姿を現さないため、これが「深い関係」を築くための必須の贈り物だとすると、クナリは実質個人的な深い関係は築かないということだろうか。もしくは本来ハイドラゴンである必要はなかったのかもしれない。

アトリアさんは何度か書いたように自然や野生生物への畏怖と敬意を持っているため殺すのはあまり気が進まないはずだが、ハイドラゴンは人間の生活領域で共存するにはあまりにも巨大で、さらに家畜や人を襲ってしまう。審問官としては安全確保のためにどのみち殺す必要が出てくるだろう。残念なことだが。

このような考え方を持つ設定に至ったのは、アトリアさんというキャラクターを最初に作った別のゲーム作品*1に由来する。巡礼中にクマを攻撃しないことによって試練が達成され、野生生物と敵対しない恩寵を受けたことが強く印象に残ったからだ*2。Dragon Ageにも生物を無駄に狩らずに済む要素があってほしかった。

Inquisitionにおいては元サークル魔道士であるため野外に出る機会は多くなかったかもしれないが、サークルでは動植物の調査なども行なっているはずなので、研究目的で野山に行くことがあってもおかしくはないだろう。常に監視のついた閉鎖空間におかれているものが、外の世界…とりわけ広大な自然に特別な感情を抱くのは不思議なことではないはずだ。今回のアトリアさんはそのような経緯を持っているとしておこう。

 

話を戻そう。ブルにネックレスを渡そうとすると、先にブルから渡したいものがあるのだという。どうやら例のプレイをまたしてくれるようだ。今度は審問官の宿舎でない別の部屋でするらしい。すると突然カレン、カサンドラジョゼフィーヌが部屋に入ってきてしまうという想定外の展開を迎える。これには笑ってしまった。

 

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…笑ってしまったのだが、カサンドラに「気晴らしか」と問われて本気の関係かそうでないかを答えることになり、複雑な気分になった。もちろんネックレスを用意してきたくらいなので深い関係を目指しているのだが、気晴らしの関係だったらなんだというのだろう。どう答えても問題ないと言ってくれるのかもしれないが(ブルとの関係は進められなくなりそうだが)、個人的な関係について問題あるかないかをジャッジされ、かなり落胆した。しかもかれらのそのうろたえ方がかなり侮辱的に感じた。その後ブルが大丈夫かと聞いてくれるが、アトリアさんはともかく中の人は正直大丈夫ではなかった。無事ネックレスは渡せたが、想定外にもやもやとした気分が残ってしまった。

はっきり言ってなぜこのような展開にしたのか理解に苦しむ。意図せず乱入してしまって顧問が驚く、まではまだ笑って許せるが、なぜああも侮辱的な反応をされなければならなかったのだろう。カレンやカサンドラの規範を重んじる性格を考えればブルや今回の審問官のような性的傾向は理解しがたいものであるだろうから、あのような反応があること自体は理解できる。ただ問題に思うのは、それが「面白い場面」として描かれていると感じたからだ。性交渉中に乱入されて個人的な関係性のジャッジをされるのは何も面白くない。

さらに考えてしまうのは、アイアン・ブルの相手は男性である場合もあることだ。今回は結果的に異性同士になっているが、同性での行為に対してああいう反応を見せられたら、はっきり言ってかなり深いダメージを負うと思う。キャラクターの意図として同性同士の行為についてああいう反応をしたのではないとしても、あのような侮蔑に感じられる反応をマイノリティ当事者は現実に嫌というほど浴びせられているし、同性同士の関係が築けるゲームにおいてですらそうした反応を見なければならないのは酷じゃないのか。少なくとも異性愛者ではない中の人には酷な場面だったし、現実に受けた差別的な態度を思い出してきつかった。せめてもっと真面目に反論できたり怒ったりできる選択肢を設けてほしい。まあ、審問官の表情は見た感じ結構怒っていたが。

 

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↑顧問らの表情がうっすら笑っていてかなり嫌だった。こういう視線が本当にこたえる。キャラクターへの好感度がかなり下がるし心底いらない演出だったと思う。

 


ついでだから書いておくが、Dragon Ageシリーズは全体的にかなり性的な要素が多く、それはシリーズのよいところであると思っているのだが、メンバー内でのセクハラ発言がやたら多いなどは今となっては問題があると思う。Originsのころに比べるとだいぶ減ったのだが、Inquisitionでもさすがにそれはやめるべきだと思う会話もあり、そこは審問官が割って入って止めるくらいの選択ができてもいいのではないかと思う*3。まあ、一番新しいInquisitionも2014年の作品なので仕方がないかもしれないが。そういう描写があることが問題というより、セクハラ発言への返しが結構面白かったりして深刻さがなく、結局「面白いやりとり」で終わっていることに一番問題があるのではないかと思う。

それと作品の外での話だが、Twitterで公式アカウントがキャラクターの見た目をいじるプロモーションをしていたのもかなり面白くなかった。そういうのはもうやめるべきだと思う。どうも問題は表現を「面白く」しようとした場合に表れやすいようだ。

自分の意識もこの7年でかなり変わったし、社会の方もそうだ。ゲーム界隈でも差別やハラスメントの問題が多々明るみになっている*4し、解決しなければならない問題が現実に山積している状態だ。全員がバイセクシャルではなく同性愛者のキャラクターがいてクエストで苦悩が語られたり、トランスジェンダーのキャラクターがいたり、BioWareセクシャルマイノリティをしっかり描いていることには当事者として好感を持っているし救われてもきた。次の作品ではもっと前進していると嬉しい。いや、続編、本当に出るのかな…と最近不安になっているんだが。

 

 

 

 

今回はプレイ記録というより文句になってしまった。いやしかしあの場面には本当に納得いっていない。ロマンスに水を差されて中の人はちょっと怒ってる。

アイアン・ブルとのロマンスについてはまだ続くのでまた次回!

 

 

《追記》

しかし思い出してみると10年くらい前の海外ドラマで、同性同士で一緒にいたところをあとから来た人たちに見られ、いい雰囲気になっていると「勘違い」され、「問題ないよ、自由だからね!」みたいなことを言われるという場面があった。当時、なんだそりゃあ、どこから目線なんだお前ら…と、もやもやした気分だったのだが、このような描写が「寛容」の表現だった時期があるのかもしれない。映画やドラマをあまり多く見る方ではないしゲームも限られた作品しかやっていないので分からないが…。マジョリティの立場にある人物が「問題ない」「自由だから」などと言い残していくのははっきり言って寛容な態度ではない。マジョリティがいいか悪いかジャッジするというそれ自体がだいぶ上から目線なのだ

 

 

 

 

 

*1:The Elder Scrolls 4 Oblivion

*2:TES4における聖戦士装備を得るためのクエストで、キナレスの祠を巡礼するときのこと。クマに襲われても反撃してはいけなかったのだが、理解せずに反撃しまくってなかなかクリアできず、大変な苦労をした。それ以来アトリアさんはあまり信仰心はないもののキナレスにだけは畏怖を抱いていた。一神教より多神教に理解を示しがちなロールプレイになるのも最初に生まれたのがTES4だったからである。まあ、中の人も一神教にあまり馴染みがないのもある。

*3:止められる会話もある。

*4:今回少し書いたTESについても作曲家のセクシャルハラスメントの問題があった。続報がないのでその後の詳細がわからないままだが…。新作にはかかわっていないらしいが、これからTES5の新バージョンが発売される他コンサートも予定されているようで複雑な気分だし、自分はその作曲家の作品は避けたいと考えている。

Dragon Age Inquisition プレイ記録⑦ ロマンス「アイアン・ブル」


※この記事は大幅なネタバレを含みます。

※性的な内容が含まれます(性的な画像はありません)。ご注意ください。

 

 

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前回書いた通り、ロマンスの相手は消去法ではあるがアイアン・ブルに決定した。ブルは放っておくとドリアンと関係を持つ展開になる*1のだが、今回は審問官が先手を打ったことになる。クナリと人間という組み合わせは体格差が心配になるが、ドリアンも大丈夫そうだったから大丈夫だろう。それにアトリアさんは魔道騎士だ。魔力をフィジカルに全振りしているような上級クラスだから頑丈だと思う。

 


アイアン・ブルは突撃兵と呼ばれる軍団の隊長であり、なおかつクナリの密偵ベン・ハスラスだ。密偵であることをまったく隠していないので、初対面で自分から教えてくれる。Originsにも聞かれたことから聞かれていないことまでしゃべってくれるひたすら口の軽い暗殺者*2がいたことを思い出す。

クナリは信仰を持たず、「キュン」と呼ばれる思想のもとに生きている。人間やエルフ、ドワーフとも異なった独特の価値観を持っているが、アイアン・ブルは長らく人間社会で生きているためかこちらの常識を心得ている。

 

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個人クエストでは突撃兵をとるかクナリをとるかという選択を迫られ、今回は突撃兵を選んだ。ブルの心理的にかなり厳しい二者択一だが、審問会としては突撃兵の方が信頼はできる。審問官も傭兵たちと面識があり、特にクレムが死ぬのは見たくない。しかしクナリを犠牲にしてよかったわけでもないだろう。そして同胞より突撃兵を選んだことでブルは不本意に「タル・ヴァショス」になってしまう。キュンを捨てた存在、つまり裏切り者だ。

同胞を選びキュンを捨てない場合でも審問会には残ってくれるが、突撃兵の皆を失う上にDLCではクナリと敵対するため、ブルとも悲しい結果になりそうだ。そのパターンはまだプレイしたことがない。本編でロマンスを完遂させてもキュンを捨てないブルは審問官よりキュンを優先するらしい。まあクナリとはそういう生き方なので仕方がないのだが、なかなかつらい話だ。というかDLCでそれをやるBioWareが怖い。

ともかく今回のアイアン・ブルはタル・ヴァショスなので、きっとずっと一緒にいてくれるだろう。

 


とりあえず会話のたびにアイアン・ブルにハートマーク選択肢を選ぶ。同時進行でカサンドラとハーディングにもハートマークを選んでいたが、カサンドラにはきっちり振られてしまったし、ハーディングとはそもそもロマンスできない。…ならなぜハートマーク選択肢があるのだろうか。可能ならハーディングともロマンスしてみたかったのだが。そしてハーディングを誘惑しているとセラの好感度が上がるのだった。なんでだ。

タル・ヴァショスとなって暗殺者を仕向けられたブルに対してハートマークを選んだところ、審問官が「誰がなんと言おうとあなたはいい奴だ、それが分からない奴はバカだ!」というようなことを叫んでいて、もはや誘惑でもなんでもなくひたすら熱くてよかった。たまにはこういうアトリアさんも悪くない。

 


そうこうしていると審問官の私室にアイアン・ブルが現れる。正直、ノックくらいしてほしい。そして「アイアン・ブルに乗りたいんだろう?」的なことを言われ、本当にいいのか、分かってるのか的なことを入念に聞かれる。快諾すると、突然両腕をつまみ上げられて最終確認をされる*3。具体的には何が始まるんだかさっぱりだが、それでも承諾して「見せてほしい」と答えるとロマンス*4開始となる。具体的な描写がないので何をしていたのかは分からないが、その後とにかく大変体力消耗することが行われたらしい。一体何が始まったのか。

そういえばアイアン・ブルは審問会に来てから複数の女性(に限らないかもしれない)と肉体関係を持っており、修道女らしき人物が「今日は歩き方が変になってしまった」というような話をしていた。彼女らとも同じような「何か」をしたのだろうか。それにしてもブルは意外と審問会の一部にコアな人気がある様子である。

 

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あとから話を聞いてみると、どうもBDSM*5的な行為が行われているらしかった。少し違うかもしれないが、とにかく支配・被支配的な関係を演じるプレイであったことは間違いなさそうだ。審問官側が被支配的な役割だったようで、アトリアさんはどちらかというと支配的な方を好むのでこれはナシかな…?とも思ったのだが、よく考えてみるとこういうのも悪くはないと思えたのでそのまま続行することにした。

たとえばこのようなプレイにおいてアトリアさんが支配側を演じたらどうなるだろうか。たぶん、円満に行うのは無理だと思う。なぜなら手加減というものを知らないからだ。加虐心を解放してしまったら大変なことになるだろう。勘違いされやすいことだが、この手の関係を演じるプレイにおいて支配側を演じる方はただ加虐的な欲求を満たせばいいというものではない。むしろ被支配側の欲求を満たすための奉仕に徹する必要がある。ブルはその役割に徹しているようだ。

 

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↑セーフワードは「カトー」だそうだ。

さらにセーフワード*6もしっかり用意されている。これはクナリの作法であるらしい。Originsのスタンもモリガンとの会話でなかなか想像し難い性行為の話をしていたが、あれはモリガンを避けるために言ったことではなく、クナリにおいてこのようなプレイは一般的なのかもしれない。もしくはどんな内容であってもセーフワードを設けてあるのかもしれない。これはなかなかいいことだ。安全が保証されルールが徹底されているからこそ快楽につながる。そうでなければただの暴力になってしまう。これはBDSMに限らずすべての性行為について言える。ただ、セーフワードの説明があとからだったのが惜しい。こういうルールはやる前に言うべきだ。初回はお試しみたいなものなので少しでも嫌そうな素振りを見せたら直ちに中止するのかもしれないが。

クナリは性行為についてかなりシステム化しているようだ。生殖は厳格に管理されているらしいので、これは快楽を得るためのシステムだろう。前回セダスにおいて避妊や堕胎がどうなっているのかという話をしたが、そこらへんの対策はクナリがもっとも進んでいるかもしれない。合理性を重んじる文化であることを考えても、科学的な医療もそれなりに進んでいそうだ。ただしクナリが重視するのは個でなく全体であり、性役割もかなり固定されているのでいいことばかりではないはずだが。

 


この時点ではアイアン・ブルとの間に恋愛感情というものは存在しない。クナリは愛のために性行為をしないのだという。何も知らずにブルを選んだので完全に偶然だが、アトリアさんにとってもっとも相応しい相手だったかもしれない。この関係はロマンスではなく、自身の快楽のため*7でもなく、ブルにとって奉仕活動のようなものだ。性的なアトラクションを提供している感じだろうか。対価としてこちらからは何をすればいいか聞いてみたが、いらないらしい。居場所を提供されているからだろうか。他のものに対しても日頃のストレスから解放するためにこのようなことをするのだという。

 


しかしやはりアトリアさんが性行為で被支配的な役割を演じるのは納得がいかないところがある。女性審問官が被支配側というのはステレオタイプにも感じる。ブルはバイセクシャルなので男性審問官でやるのがよさそうだ。実は本当はクナリの男性審問官を作る予定だった。キャラメイクに満足できず、面倒になって急遽アトリアさんを作ったのだった。そのままクナリでプレイした方が受け入れやすかったかもしれない。

ブルに棒で叩いてくれと言われるイベントがあるのだが、そのとき思いきり叩いてあげればよかったなと後悔するばかりだ。アトリアさんは手加減を知らないが、あの場合手加減せず叩いた方がブルも喜んだだろう。

まあ審問官がブルとの行為で被支配側に回るのは日頃権力者として支配側に立っているからでもある。こういった非日常的なプレイはいつもの役割を逆転させることで満たされるという側面があって、ブルはそれをよく心得ているようだ。

 

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↑これも悪くないと思う。

 

さて、正直このままの関係で全然問題ないのだが、そうなるとロマンスのクエストが完遂できないのでゲーム的に中途半端だ。それにあまりにもアトリアさんに相応しい関係なので、デミロマンティック的な、まれな関係を築きたい気持ちになってきた。クナリにとっても深い関係を築くのはまれなことなのだという。アトリアさんのセクシャリティはクナリ的には普通なのかもしれない。本気を示すためにはドラゴンの歯をふたつに割って贈るのが伝統らしい。関係を深めるためにドラゴンの命を奪うのは野生生物に対して敬意を持っているアトリアさんにはちょっとつらいが、集落のあるあたりにいるドラゴンはどっちみち倒さざるを得ないため、それほど問題はない… というかすでに持っているのであった*8。早速、ブルに贈ることにする。

 

 

…それにしても、ドラゴンの歯を割らねば本気を示せないのなら、クナリにおいて深い関係はほぼ実現不可能ということかな?

 

 

 

またまた長くなってしまったので続きはまた次回にしておこう。

 

 

 

*1:審問官が別の誰かとロマンスしている場合のみ?

*2:ゼブラン・アライナイ

*3:もっと説明と考える時間がほしいとは思う。

*4:この時点ではそう呼んでいいか疑問だが。

*5:Bondage 束縛、Discipline 懲罰、Sadism 加虐、Masochism 被虐 の略。

*6:行為をやめてほしいときに使う言葉。これを言われたら行為は中止されなければならない。

*7:完全に自分の快楽と関係ないわけでもないだろう。クナリにおける役割の徹底は意に沿わないことを無理矢理させることではなく、本人にとって向いていることを役割とするといったものなので、行為によって快楽を得ていることと矛盾しない。

*8:ちなみにこのドラゴンはアトリアさんがほぼ1人で倒した。魔道騎士は攻撃を続ける限り障壁で身を守るため、激しく攻撃していればほとんど無敵だ。他の皆はずっと倒れていて、復活させてもすぐ倒れるのでもうそのままにしておいた。ブルは倒れたままで叫んでいて面白かった。