無真獣の巣穴

らくがきとかゲームとかなんかそんなん。

FINAL FANTASY XII REVENANT WINGS クリア!(ちょっとネタバレあり)

 

久しぶりの更新。こちらFF12レヴァナント・ウイングのネタバレを含みますので、気になる方はご注意ください。核心部分のネタバレは避けますが。まあ、少々ネタバレを見た上でプレイするのも悪くないと思いますよ?

 

 

先日までPS4FF12リマスターやってたんですが、久々のFF12は本当に楽しくて、クリア後も名残惜しくて、ついついDSの続編レヴァナント・ウイングに手を出してしまいました。FF12は何周もしてるんですけど、こっちはプレイしたことなかったのです。もう10年も前なんですね、出たの。何でプレイしてなかったんだろう。
それにしてもFF12ゾディアックエイジ面白いですよ。画質もきれいになって、システムもインター版より便利になってます。当時はストーリーが薄いとか言われてたけど、薄いんじゃない、味わい深いのだ!と言っておきます。FF12の記事も書くべきかな…?

 
で、レヴァナント・ウイングですが、面白かった!正直FF12の余韻が味わえればなんでもいいくらいの気持ちで始めたのです。こんな良作を今まで無視し続けていたとは…。でも、今だからこそ楽しめたのかも。タイミングって結構大事なので。

 ゲームとしては前作とはまったく毛色の違うシステムで、タクティクス寄りになってます。このへん、人を選ぶのかもしれません。まあそれほど難易度は高くないと思います。たまにキツいこともあったし、ミッション全部やったわけではないですが。

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↑戦闘画面(初期配置)

基本的にパーティメンバー5人と、召喚獣10体ほどで戦います。条件によって変わりますけどね。召喚ゲートがあれば追加で召喚することもできます。敵味方入り乱れて結構な人数でワラワラ戦うことが多いので、気配りが必要だったりします。手分けして進んでいると気付かないうちに離れたところの味方がやられていたり。うっかり挟み撃ちされてしまったり。自分はそういうのも結構好きでしたね。あと召喚獣(幻獣と呼ばれる)のデザインやイラストが好きです。ミッションをクリアすれば前作の召喚獣も使えますよ。

ちなみに召喚獣との契約はFF12のライセンスボードのようなライセンスリングっていうのを使うんですが、これを回す音が結構気に入ってます。曲も好きですし*1

 

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↑説明書より、カイツ、フィロ、トマジ。

 FF12で脇役だったラバナスタのヴァンの仲間達、カイツ、フィロ、トマジがメインキャラクターとして大活躍するというだけで自分には十分やる価値ありました。

あの「いっけね」なカイツが魔法少年になっているのも嬉しい驚きでした。カイツがファイガ撃ってるだけで感涙ものですよ自分にとっては。前作のメインストーリーでほぼ出番のなかったフィロが浮遊ボード「スカイシーフ」を乗りこなして活躍するのも熱いですね。エグル族の青年に想いを寄せつつ、自分ももっと高く飛びたいと思ってるフィロ、良い。

さらにトマジ!FF12では最序盤にしか出番がなく、しかもほぼ解説しか台詞がないのに意外と存在感のある赤いマフラー、トマジ!パーティに参加はしないものの、自称スパイマスターとして大活躍です。というか面倒なことは大体トマジがやっている。いやトマジいいですよ。前作から戦う以外で才能を発揮してることがうかがわれましたが、その才能を惜しみなく見せてくれます。本当面白い。個人的に一番好きなキャラですね、トマジ。

 

そして本作ではヴァンの成長っぷりが目覚しいです。過去とか現状とか、もやもやしたものを抱えながら、威勢のいいことばかり言って、でも目的はぼんやりしていて、誰かの後をついていって「何か変われるかも」と思っていた。そんな感じだったヴァンが自分の意思で、自分の足で、自分の信じることをやろうとする。それがレヴァナント・ウイング。前作FF12ではヴァンを中心に据えつつ主要メンバー全員が主人公というか、群像劇に近いものがありましたが、こちらはまぎれもなく「ヴァンの物語」なのです。

…これって前作で影の薄い主人公だって揶揄されたことを意識してたりするんでしょうか。前作でのヴァンも本当に良い存在だったと思うんですけどね自分は。

 FF12での「仲間」の繋がりは結構複雑で、希薄ではないけど強い絆とかそういうものとはちょっと違う、「一緒に来たし、一緒に行くんだ」というヴァンの台詞がありましたけど、まさにそんな感じでした。乗りかかった船みたいな。
一方、レヴァナント・ウイングでの「仲間」は、「家族」に近い。途中で出会うリュドを除けば皆元々孤児仲間なので(トマジはどうなんだろう?)、最初から家族みたいなもんなんですよね。ヴァンが父親パンネロが母親役なのです。最初は年下の子供達であるカイツとフィロの保護者であり、ストーリーが進むとなんだかんだで行き場のない人々を船に乗せるようになり、「家族」が広がっていく。将来レダスのような親分になれそうです。 

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↑「おもしろい」より優先すべきことが分かってきたヴァン。

ヴァンはまだ大人になりきってはいないのですが、自分のことより皆を気遣わねばという責任感がすでに芽生えています。空気の読めなさとかそのまんまでありつつ、亜人エグル族に対して尊重の姿勢を見せてたりします。前作でヴィエラに対して結構ぶっきらぼうな態度を見せていたことを考えると、そういう面でもかなり成長してるんじゃないでしょうか。

 

パンネロについてなんですが、前作に比べるとキャラ付けははっきりしてるものの、ちょっとステロタイプな感が否めなかったですね、個人的には。ヴァンとは前作で登場したときからすでに夫婦みたいなものだったし、まあ母親役でもいいっちゃいいのですが、料理が得意でないという設定の上で当たり前に料理係になっていたりとか、終始ケア役であったりとか。前作でも囚われのヒロインというベタな役回りもありましたけど。というか、自分が育てたパンネロは屈強な赤魔戦士でモンクの万能ファイターでしたからね?パンネロには棒、棒ですよ。 

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↑バッガモナンには容赦しないパンネロ

 格好も前作の方が好きかなあ。かわいいけどね。せめて三つ編みは上を向いて欲しかった。あと、クネクネダンスはちょっとらしくないなあと思うのですよ。踊り子にしても、もっと元気で活発な方がよかった。ムービーはいいんですけどね。バッガモナンにえらく厳しいところは大変よかったと思います。そりゃ容赦しないよね。

 

 そして前作の自称主人公バルフレア。ヴァンとバルフレアの関係は本作において非常に重要です。バルフレアという大きな存在を越えて行くというのがこのレヴァナント・ウイングの大きなテーマのひとつになっているように思えます。
大事なことを告げず独りで進んで色々抱え込みがちで素直じゃないバルフレアと、空気は読めないけど皆を支えつつ皆に支えられつつどこまでも素直なヴァン、という対比がとても面白いことになってますね。ヴァンがバルフレアの行動に対して面と向かってはっきり異議を唱える場面がありますが、あのヴァンがここまではっきりものを言えるようになったんだなあと、本当に感慨深いものがあります。

バルフレアは結構複雑なキャラクターですよね。自信たっぷりに主人公を名乗って空を自由に翔ける空賊であり、しかし実は過去や自分自身を縛るものから逃げたがっている。自由じゃないんですよ。そしてアーシェやヴァン、パンネロを放っておけない責任感の強い一面もある。それに、やっぱり素直じゃないですよね。ことあるごとにカッコつけた台詞が出てくるのですが、カッコつけないと素直に言えない性質なんじゃないでしょうか。 

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↑ちょっと斜に構える姿勢のバルフレア

一方でヴァンは素直です。変にカッコつけない。恥ずかしがらないのはヴァンの本当にいいところ。辛い過去を振り切って、自由に飛び立った若者です。これも対照的ですよね。バルフレアに「もっと素直になれよ」などと申しており、若くしてすでに大物感があります。懐は深そうですよね、本当。まだ子供っぽいところも多いですが。

ヴァンとバルフレアは師弟関係のようなものと思ってましたが、そういう感じでもないですね。上下関係ではないです。かといってライバルでもなく、一緒に行動することはあっても他の孤児仲間とは違う。何かと言い合いながらおそらくお互いに信頼はしていて、なんというか「腐れ縁」みたいなものなんですかね。「半端な関係じゃない」そうですよ。前作からそうなんですけど、こういった複雑な関係に名前なんか要らないんじゃないでしょうか。


…それにしてもメインメンバーの年齢層が低いこともあって、やはり全体的に甘いなあと思ってしまうのです。そういうときにバルフレアのちょっとした一言があると、「やっぱりお前みたいな奴がいてくれて良かった」と思います。自分も素直になれない、ひねくれた大人なので。

 


さて、もっとも興味深いのは本作初登場の有翼の亜人「エグル族」ですね。エグル族のデザインはちょっとイヴァリース(本作の舞台はレムレースですが)の亜人らしくないというか、もうちょいひねりが欲しいと思ったのですが、見慣れてくると愛着がわきます。むしろ、話の内容を考えても、神話的でいいかも。

エグル族はオキューリアに逆らい、地上を逃れ、浮遊大陸レムレースに追いやられた存在です。事情があって感情に乏しいのですが、あのオキューリアの支配に逆らったくらいなので、元々はヒュム以上に気性が激しかったりするんじゃないでしょうか。実際逃れた先で争い始め、その理由を忘れるほどに長い間戦い続けたようなので。まあ、レムレースが狭かったというのもあるのかな。

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↑ヴァンと行動を共にするエグル族のリュド。エグルは食欲も乏しい?

現在はかなり数が少ないようですが、極端に感情が乏しくなったせいかも。繁殖とか難しそうですよねえ。ヴァンたちと行動を共にすることになるリュドは比較的好奇心旺盛な方らしく、異端なのだそう。この感情の乏しさにも個人差があるみたいですね。感情が乏しいゆえに文化のあり方や家族との関係が独特なことになってるようで、想像するのが結構面白いです。神はいてもそれほど厚い信仰心があるわけでもなさそうだし。できれば実際にエグルの暮らしも見てみたかったかな。

で、面白いのが、このエグルたちに「心」が戻ってきてからですね。そもそも歴史的に地上から追いやられた存在であり、散々地上から来た空賊に土地や遺産を荒らされたこともあって、真っ先に負の感情を爆発させて襲ってくるんです。そして地上を攻めようとする。
一方で地上からレムレースにやってきた空賊たちは逆に心を失いつつあり、それはそれでエグルに使役されて地上を攻めることに躊躇がなくなってるんですよ。
レヴァナント・ウイングは全体的に前作より対象年齢が下がってる感じなんですけど、主人公一行は「奪われた心を取り戻す」ことが良い方向に繋がるという立場をとりつつ、実情はきれいごとで済んではいません。物語は比較的明るい雰囲気で進みますが、複雑な背景がよく表現されていたと思います。
少数種族が虐殺されてしまう場面はもうちょっと重みがあってもいいのではないかと思ったけど。それにまあこういうのありがちなんですけど、悲しい過去や事情があって残虐な行いをした敵を、簡単に受け入れすぎるかな。

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↑心を手に入れた苦しみ。大変そう。

それにしても今までになかった感情が急に湧き出てきたら本当大変ですよね。彼らは感情をコントロールする術を知らないんですよ。種族の誰も知らないはず。ひとりひとり段階的に解放できたらいいんでしょうけど、そんな感じの事情じゃなかったわけで。自分の話なんですけど、最近今までにない感情がいくつも生まれている感じで、何か持て余してるんですよ。そのせいか、妙にエグルのみなさんに親近感わくんです。だからこそ今、このゲームが沁みたんだと思いますけどね。きっと今が最高のタイミングだった。*2

ヴァンたちが運命的に手に入れた*3飛空艇はみんなの家というか、ひとつの町のように発展していきますが、果たされない本来の目的があり、それが判明してからはなかなか複雑な気分でした。最後の船の行く末は、あれでよかったと思います。まさにレヴァナント・ウイングが新たな時代へ。ヴァンはまた貯金して新しい船を買おうな!もう壊すなよ!

 

…というわけで本当は言いたいことがもっとたくさんあるのですが、このへんで。いや本当にやってよかった。自分の心にぴったりはまる作品にいつ出会うかは分からないものですねえ。ゾディアックエイジも出たことですし、ついでにレヴァナント・ウイング、いかかでしょう。FFTAとか好きな方にはおすすめですよ。

 

 

 

 

 

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*1:レヴァナント・ウイングのBGMはFF12と多分全部同じ。

*2:あとなんかDragon Ageの静者のこととか考えてしまいました。治療法が存在すると判明してますけど、感情を戻したらやっぱり真っ先に負の感情で爆発するのかもなと。基本的に酷い扱いの末ですからねえ。

*3:勝手に持ち出したとも言う。