無真獣の巣穴

らくがきとかゲームとかなんかそんなん。

Dragon Age Inquisition プレイ記録⑥ ロマンス

※この記事には軽微なネタバレが含まれます。

 


さて、Inquisitionでは仲間の誰かと恋愛することが可能だ。「アトリアさん」というキャラクターは他の色々なゲームでプレイしていて、恋愛や結婚の要素がある場合は必ずパートナーを作ってきた。今回も誰かしらパートナーがほしいだろう。

 

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アトリアさんは性愛において相手の性別を条件にしないパンセクシャルだ。ついでに性愛の対象が一人に限定されないポリアモリー的な傾向もある気がするのだが、それを「同意の上で」実行できるゲーム作品にめぐり会えていないため、とりあえずパートナーは1人に限定されている*1

いわゆる恋愛感情的なものはあまり持ち合わせていないように思う。性行為は基本的に愛情表現のためではなく趣味として嗜んでいる気がする。まったく相手に何の感情も持たないというわけではなく、友情はあるだろうし、愛着みたいなものがそれなりにあるときはあるし、パートナーに対しては強い信頼を持っていると思う。非常に強い信頼がある場合にまれに恋愛感情を抱くことをデミロマンティックというらしいが、デミロマンティック・パンセクシャル、と言い表せるかもしれない。*2

恋愛指向は性的指向と必ずしも連動しない。アトリアさんはその切り分けがはっきりしている(パートナーとして精神的つながりを重視する相手と、性交渉を楽しむ相手が一致しない)ように思うのだが、そこまで想定されているゲームには出会ったことがない。趣味を楽しむ相手と強い精神的つながりを持って生活を共にする相手とが違うのは、そんなに不思議なことではない気がするのだが、あまり一般的ではないらしい。

 


こうしたキャラクターのセクシャリティは最初から想定しているわけではなく、プレイしながらなんとなく決めていく感じだ。今回のアトリアさんは他のゲームで何度も作っているため、こうした設定が最初から固まっているに過ぎない。プレイしながら手探りでキャラクターの人格を作り上げていくより楽なのだが、作品によってできることに限りがあるので、なかなかこの設定を発揮させられないことも多い。最近のゲームでは同性愛くらいは普通にできるものが多くなったが、正直もっと多様性がほしい。ストーリーやシステム上難しいこともありそうだが。

ちなみに、中の人である自分自身のセクシャリティと関係あるのかというと、特に関係はしていない。ただ、自分自身の考え方が反映されているとは思う。たまに自分自身とかなり一致しているキャラクターを作ることもある。しかしそれだと何周プレイしてもロマンスしないで終わるため、ゲーム的にあんまり面白くないのである。

※この部分については補足と反省が必要だと感じたため、別記事に書きました↓

Dragon Age Inquisition プレイ記録・番外編 補足と反省 - 無真獣の巣穴

 

 

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↑DA2のアンダース。サークルから脱走した後アマランシンでウォーデンになり、カークウォールに流れ着いて難民の支援などをしていた…のだが。


ところで、セダスでは一般的に妊娠や性病の問題をどうしているのだろうか。少なくとも性病の治療は魔法でできるらしく、Dragon Age 2 でアンダースがやっていた*3。薬を使う医師的な存在がいるのも確かなので、そのようなものに頼ることもあるだろう。というかその方が普通なはずだ。アンダースがあれだけ難民に頼られていたのは、かれらがそうした存在にアクセスできなかったからだろう。

避妊や堕胎も現実の歴史にあったような方法が試されているだろうが、魔法でかなりなんとかなりそうに思える。アンドラステ教会が堕胎を禁じているという話はなく、そこらへんの知見はそこそこ進んでいるかもしれない。アンダースが癒し手として性病治療から出産まで扱えていたところを見ると、サークルにそのような知識の蓄積があることは間違いない。もちろんアンダースが特別だった可能性もあるが、出身を考えても*4特殊な経験があるようには思えず、やはりサークルで得た知識を使っていると考えるのが自然だ。科学的な医療はまだ発展途上らしい*5描写もあり、スカイホールドの外科医とのやりとりを思い出すと、基本的にセダスの高度な医療の担い手は魔道士の癒し手かもしれない。ただそれにアクセスできるのは一握りの恵まれたものたちだけであろうし、奔放な性交渉にはそれなりのリスクが伴うだろう。

とりあえず、今回のキャラクターは本人が元サークルの魔道士であり、ゲームシステム的には癒し手と呼べるクラスがないのだが…想定としては癒し手なので、大抵のことはなんとかなるだろう。

 


話がそれたが、まあとにかく相手の性別は問わない。上記の通り細かい設定は色々あるのだがそれをゲームで実現できるとは限らないので、とりあえず相性がよさそうな相手を探すのみだ。Inquisitionで人間の女性主人公がロマンスできる相手は… セラ、ジョゼフィーヌ、カレン、ブラックウォール、アイアン・ブル、この5人だ。この中で相性がよさそうなのは…セラとアイアン・ブルだろうか。

ジョゼフィーヌも悪くはないのだが、かなり家や家族を大事にするタイプのようで、ひたすら実家が嫌いで放浪していたい*6アトリアさんとはあまり合わなそうな気がする。カレンとブラックウォールはヘテロセクシャルで、なんと言っていいかわからないが、住む世界が違うな…という感じがしてとっつきづらかった。

 


アトリアさんは基本的にそんなに真面目なタイプではない。本来利己的で、関心のおもむくまま自分の好きなことばっかりできたらそれでいいと思っている。ただ必要な仕事を任されたらそれを完璧にこなしたいという意識も持っているし、審問官をなんとか公正にやっていこうとしているのはそれが今の状況にとって重要なことだと理解しているからだ。もちろん、その方が対外的に面倒が少なく、地位がないよりはあった方が何かとやりやすいからでもある。しかしロマンスはプライベートなので、パートナーはとにかく面白い奴がいいと思っているだろう。特に審問官の仕事はやたらストレスが多い*7ため、自由を好むアトリアさんにはストレス発散できる相手が必要だ。その候補がセラとアイアン・ブルというわけだ。

 

 

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……それはそれとしてカサンドラを誘惑してみたが丁重に断られてしまった。彼女はヘテロセクシャルなので仕方がない。分かっていて当たって砕けてみたが割と切ない。カサンドラは少々頭の固いところもあるがそれを自覚して過ちを正そうと意識しているところが尊敬できるし、なによりタフで気性が激しい。しかも本好き*8なので趣味も合いそうなのだが、どうしようもない。まあ中の人が好きなだけだが。ちなみに、前周のプレイではカサンドラとロマンスしている。

 

 

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まず第1候補のセラについて考えてみる。セラとは比較的相性がよさそうだと考えていたのだが、会話するたびに言い合いめいたことになり、毎度地味に好感度が下がってしまってロマンスに持っていくのが難しい様子だった。一緒に顧問にくだらないいたずらを仕掛けて楽しむなどは問題なくできるし、貴族に対して好意を持っていないあたりは一致していて、好感度が上がるときは上がるのだが、真面目な会話になると衝突しがちだ。

「ヴェシャールの行進」では黒幕の貴族を逃したことでまた好感度を下げてしまった。向こうから襲ってこない限り積極的に殺しはしない方針なのでとりあえず逃してしまったが、貴族の悪事を見逃したのが悪印象だったらしい。まあ確かにそれはそうだ。密偵勧誘して審問会に貢献してもらった方がよかったかもしれない。さらにその後の会話で「セラにも責任がある」というような発言をしたために割と険悪な雰囲気になった。

正直レッド・ジェニーの活動についてはよく分からないことも多いのだが、誰が何の目的でしているのか分からないことに手を貸すリスクをもっと考えた方がいいのではないか、とアトリアさんなら考えるだろう。生真面目な責任感は持っていないが、業務を完璧にこなしたいプライドがあるためだ。中の人としてもまるでSNSの人探しに協力してしまうような危うさ*9を感じる。ただ審問会にセラを引き入れて活動にかかわっている以上、後ろ盾として責任を持ち、リスク回避の対策を立てるべきは審問官の方だったかもしれない。と考えると、セラには少し言いすぎたような気がする。

 

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↑今も綺麗な小箱で遊んだり盗品を埋めたりしてそうではあるが…

さらに気になるポイントとして、セラの年齢がある。言動からしてかなり若そうとは思っていたが、10年前のフェレルデンの救世主の記憶がおぼろげなレベルとなると、18〜22歳程度なのではなかろうか。アトリアさんは想定が27〜34歳程度*10なので、相手としては少々…若すぎるかな、と思う。残念ながら今回セラとは合わなそうだ。

ちなみにセラとのロマンスを諦めたあとのことだが、ミサールの神殿から帰った後に話をしたらまた言い合いになってしまった。アトリアさんは基本的に創造主やアンドラステへの信仰心をまったく持っておらず、エルフの信仰には敬意を払っているというスタンスなのだが、そこらへんが致命的に合わないらしい。

セラは堅苦しい規範に従うのは嫌うが、意外にアンドラステを信じているようだ。シティエルフは改宗を条件に異民族地区に住むことを許されたという歴史的経緯があるので、エルフがアンドラステへの信仰を持っていること自体はさほど意外ではない。それでもここまで教会と相性の合わなそうなセラが信仰を持っているというのは、やっぱりちょっと意外だ。信仰心が厚いというよりは、「物事をシンプルにとらえたい」という心理によるのかもしれない。セラは孤児として人間社会で育っているため、そもそもエルフ的な文化にそれほど馴染みがない。それなのに見た目から「エルフらしさ」を求められたり、勝手に「エルフらしく」扱われたりする場面があったであろうと想像すると、エルフの文化を強く嫌っている様子も理解ができる。

一方アトリアさんの方は出身が教会とかかわりの深いトレベリアン家でありながら、自由を求めるタイプの元サークル魔道士であるため、教会のことは抑圧の権化としか見ていない。物語より事実を好むという性格もあって、アンドラステ教には否定的な感情を強く持っているはずだ。不本意とはいえ教会と関係の深い貴族という立場上、マイノリティのエルフ文化を軽視するのはかなり抑圧的な態度になってしまうため、セラの意見には同調しづらい。さらにアトリアさんは自然に対する畏怖を持っているキャラクターであるため、どちらかというとエルフ文化の方に親和性が高い。しかもセラは魔法に対して非常に強い恐怖を抱いている。合わない要素が多すぎる。

まあ反目し合いながらのロマンスというのもなかなか熱い*11ので意見は合わなくてもいいのだが、とりあえずストレス発散にはならなそうなので今回は見送ることにした。セラとのロマンスもかなり気になるので、機会があったらぜひやりたい。審問官はどうしても審問官なので、若干威圧的な存在になりやすく、若い庶民派のセラと向き合うとなんだか支配的な構図になりそうな気がしてしまう。セラだから大丈夫かもしれないが。やるときはかなり若めの審問官を作ろうと思う。

 

 

 

というわけで、自動的に相手は第2候補のアイアン・ブルに決まった。これが色々興味深く、また色々複雑なこともあり…… 長くなりそうなのでそれは次回ということで。

 

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↑スカイホールドの書物を物色してストレス発散するアトリアさん。ひっそりと存在するこの部屋、いかにも何か起きそうだが特に使われる場面は無かった気がする。この場所に関連するイベントがあるのだろうか。ここでコーデックスを読んだりすると雰囲気が出そうだ。

 

 

*1:Originsで作ったアトリアさんはレリアナとゼブランの二股をかけていたが、ゼブランにやんわり指摘されてレリアナを諦めた。これは双方の同意を得た関係ではないのでポリアモリーというより普通の二股。ポリアモリーな関係を築くときはそうでない場合と同じように相手との同意と誠実さが必要だ。

*2:ややこしいと思うかもしれないが、現実に性のあり方は複雑で多様なものだ。アイデンティティセクシャリティなどを表す用語は変化が速く、どんどん新しいものが増えていくため、自分でもついていけないところはある。しかし自身の状態を表す「名前」があるということがマイノリティにとっては非常に重要な場合がある。自らを知り、それを表すために新たな言葉はどんどん増え、より利便性を高めるために変化していく。細かい用語をひとつひとつ覚える必要はなく、こうした概念があるということと、現実に多様な人間が生きているということを頭の片隅に留めておいてほしい。

*3:性病の治癒をアンドラステに祈ってる人もいた気がするが、さすがにそれに効果があるとは思わない。

*4:書籍The World of Thedasに書かれている。フェレルデンの農村出身だそうだ。彼は12歳でサークルに入った。この本をもっと読めば世界観の理解が深まるのだが、全部英語…全部英語だー!!

*5:アンドラステ教会的には解剖学を異端と見ているらしく、宗教的な理由で科学的な医療がなかなか進まないという側面がありそうだ。

*6:ただしずっと移動生活ではなく、拠点となる場所がいくつか必要なタイプ。アトリアさんは一ヶ所にとどまる時期とふらふらしている時期がほしいのだ。

*7:宗教的なアイコンとしてまつりあげたり突然責任者にされたりな上、戦略を決めるのも指示を出すのも危険な現場で動くのも審問官だ。おまけに囚人の裁判まである。審問官に命かけさせすぎ、なんでもやらせすぎだ……

*8:アトリアさんは本が好き。別のゲームでは書籍の収集家をしていた。フィクションよりはノンフィクションが好きそうだ。カサンドラは前者の方が好きそうかな。

*9:一見助けたくなるような内容であっても実際に何の目的で人を探しているかは分からないので、SNSでの人探しは基本的に協力するべきでない。最悪の場合探し当てられた人物は殺されるかもしれないのだから。

*10:当初の想定がOriginsで救世主にならなかったバージョンの魔道士主人公の10年後、というものだったため。Originsの主人公は明確な年齢設定はないものの、話の内容からそこそこ若いような気がする。まあInquisitionの魔道士主人公はトレベリアン家の出身なので想定は崩れたが、年齢設定はそのまま残った。

*11:Dragon Age 2 には敵対ロマンスというものが存在した。あれはかなり面白いと思う。