無真獣の巣穴

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Dragon Age: Inquisition プレイ記録(16) 補足

※この記事には作品の核心にかかわる重大なネタバレがあります。

 

プレイに2年以上かかっていることと、プレイしていなかった時期がかなりあったのとで少々自分もうろ覚えになっているところが多く、一応コーデックスやwiki、書籍の機械翻訳を眺めながら記事を書いているが、前回の記事についてはもう少し書くべきことがあると感じたので補足をしておこうと思う。

 

"アンドラステ教における創造主の逸話はかなりの部分でフェンハレルと重なっている" と前回書いた。招かれざる客で見ることができる遺跡の記憶で、フェンハレルがエヴァナリスの奴隷たちを解放しているものがあったが、それ自体はおそらくアンドラステが創造主の助けによってテヴィンターの奴隷を解放したとされる奴隷解放とはまた別件のものだと思われる*1。あの遺跡に残っていた記憶にはフェンハレルがほぼ単独で奴隷たちを導いているような印象が強かったため、やはりアーラサンが滅びたときのものと考えた方がよさそうだ。もしかしたらどこかに年代が推測できるような情報もあったかもしれないが、今回は見つけることができなかった。
しかし、のちにアンドラステに協力した可能性ももちろんある。エルフの奴隷を解放しているという点で、やはり行動の傾向として重なる部分は多い。今も同じようにエルフを解放しようとしていることを考えると、1000年おきくらいに同じことを繰り返している可能性がある*2
ヴェイルを作ってフェイドとこちら側の世界を分断したのがフェンハレルだということはほぼ確定しており*3、その部分については創造主=フェンハレルが成立してはいる。ただ創造主について残っていることは伝説的なものなので、事実とはかなり違っていたり、まったくの別人の行為が含まれていたりなどもあるだろう。もちろんソラスが「自分が神(創造主)だ」と言っていたとも考えにくい。むしろ「我々は神などではない」という主張だったはずだ。そういう意味では、事実がどうあれ、たとえ重なるところがあったとしても、創造主とフェンハレルは同一ではない。

審問官だって、誰がどう呼ぼうが「アンドラステの使徒」などではなかったし、そう呼ばれることを望んで引き受けたわけでもない。少なくとも今回のプレイでは一貫して否定し続けてきた。「審問官」すら望んでなったわけではない。それと同じようなことだ、とソラスも確か言っていた。

 

前回や前々回のプレイではとらえられなかった「フェンハレル」の側面が、今回少しつかめた気がしている。
デイルズの伝承においてのフェンハレルはエヴァナリス側の立場で語られてきたゆえに、「狡猾で残酷で恐ろしい裏切り者」という偽りの姿で描かれてきたのだと、これまでのプレイでは解釈してきた。しかし、あながちそこまで偽りというわけでもなかったのではないか、というのが今回の気づきだ。
ソラスは審問会の仲間でもあったし、前回・前々回の審問官*4に設定していた性格がかなり気優しい傾向にあり、慈悲的で、ソラスへの信頼度も高かった。そのロールプレイの影響で「いつも思慮深かった自分の大切な友人が、そんなに残虐であるはずはない」という解釈が発生した。
しかし、今回の審問官は友情や愛情といった感情がないわけではないものの、あまり共感的なところはなく、倫理は考慮するが基本的に利己的で慈悲はない。そうしたロールプレイからとらえたソラスは、「思慮深く慈悲もあるが、もしかすると想定以上に危険な別の面を隠している存在かもしれない」というものだ。
そのように解釈すると、ソラスが審問官にヴェイルの測定の名目で装置を起動させたこと、さらに「印」から審問官を切り離したことさえ、別の目的が隠れているのではないかと思えてくる。嘘は言っていないかもしれない。しかし、本当のことも言っていない。

以前レリアナの「多面性」について記事に書いたが、それとはまた違った意味でソラスには恐るべき「多面性」があるかもしれない。
ソラスは審問会を欺いたが、単に狡猾なだけではないし、利己的というわけでもない。過去の行為への罪悪感を持ち、エルフを救いたいと考えている様子なのは明らかだ。ただし、その救いたい対象がかなり限られているらしいうえに、それ以外のものの犠牲をどれだけ考慮しているかがつかみきれない。
Dragon Age 2でのアンダースのことを少し思い出すが、ソラスは具体的な苦悩の様子さえほとんど表してはいない。ポーカーフェイス、徹底した秘密主義だ。もちろん審問会においての会話で、ある程度の苦悩や自分の背景についての断片は表されていた。しかし、重要なことは何も語らない。「出せるところまでしか出さない」計算高さがうかがえる。レリアナが教皇や救世主、審問官などの誰かの存在によって大きく揺り動かされてきたような、アンダースが激しい苦悩の中で思い詰めて凶行に走ってしまったような、そうした不安定さがソラスには感じられない。もちろん内心では色々あっただろうが、その心の内を本当の意味で誰かに明らかにすることがない。


ソラスは慈悲と冷酷さの両面を持ちながら、揺ぎなく、思慮深く、計算高く、隙を作らない。ソラスは神ではないし、自身も古代からそのように主張してきたはずだが、権力的なふるまいから完全に降りているとは言えない。慈悲を与える民は選ぶ可能性がある。さらに、いざとなれば目的のために手段を選ばない可能性は高い。多くのものが失われると知りながらヴェイルを作り上げたように。敵ではないかもしれないが、相手にするにはかなり恐ろしい存在だ。

本編を最後までプレイすればわかるようなことではあるのだが、まったく違うロールプレイを通したことによって、「戦慄のオオカミ」と呼ばれた側面が以前より明確にとらえられた気がした。

 

 

 

 

*1:テヴィンターの賢者にエヴァナリスの誰かが含まれていたなどでない限り。今のところそれもまったくないとは言えない。かれらはそうめったなことでは死なないため。

*2:もしアンドラステの奴隷解放にもかかわっていたら、だいたい等間隔?睡眠(ウセネラ)のリズム?

*3:ソラスの言うことに偽りがない限り。

*4:同一人物を別のクラス(最初はローグ、次にメイジ)で2周やったため、ロマンス以外のロールプレイは同じだった。