無真獣の巣穴

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Dragon Age: Inquisition プレイ記録(14) 招かれざる客 -ウィンターパレスにて-

※この記事にはネタバレが多分に含まれます。

 

しばらくやり残していた欠片集めをしたのち、ついにDLC「招かれざる客」ヘ突入。物語はコリーフィウスが倒れてから2年後となる。
自分の今回のプレイもリアルタイムで2年以上かかっているので、一気に時間が飛んだという感覚は薄い。プレイを中断していた時期が長かったためにここまでくるのにかなりの時間を要したが、「あれから随分経ったな」という登場人物たちの感覚がプレイヤーとして自然に感じられるのは時間をかけてよかったところかもしれない。

まずは舞台となるウィンターパレスをあちこち見て回りつつ、仲間たちと再会し会話をしていく。
今回はレリアナが教皇となっている。カサンドラやヴィヴィエンヌのパターンは経験しているが、実際のプレイでレリアナが教皇になっているところを見るのは初めてだ*1。アンチ教会派の審問官としては最善の結果だったと思う。どう考えても教会を根本から変えていけそうなのはこの人しかいない。

 

スクリーンショット。白いフードをかぶったレリアナのバストアップ画像。

教皇ヴィクトリアとなったレリアナ。

レリアナはどうやら目的のために手段を選ばない冷徹なスパイマスターとしてではなく、慈善の意志を貫き、より平等で改革的な教会を目指す方向で教皇になったようだ。柔軟とも不安定とも言える非常に変化に富んだ人物だが、まあいい方向へ進んでいると思っていいのではないだろうか。それがこの先いい結果につながるかどうかはまた別だが、このあと起きることを考えるとレリアナが教皇の座にいることはかなり心強く感じる。


ヴァリックがカークウォールの子爵になっているのは何度見ても面白い。たしかにDragon Age 2をプレイしてみれば、あんなことがあったあとであの街を治めたい人はそういないだろう。しかしヴァリックならうまいこと街を再建できそうな気がする。カークウォールは大きく変わっていきそうだ。
そのヴァリックにそそのかされ、審問官が結婚すると思っているカサンドラの挙動不審さもわりと面白い。あんな挙動になる理由はよくわからないが、今回はカサンドラに一度求愛して断られているので、なにやら複雑な感情が発生したのかもしれないと勝手に解釈した。

 

スクリーンショット。カサンドラと振り向いた審問官の横顔。

「クナリ族との結婚がどんなものか、想像すらできないが、もし・・・」と語るカサンドラ

なお、アプローチした当の本人は、断られた相手に微塵も恋愛的な執着はしていなそうだ。性的・恋愛的関係がその他の関係よりも特別という意識もなく、そのような関係のアプローチを断られたからといって特段どうということもない。アトリアさんにとってはゲームに誘ったけど断られた、くらいのことだった。
ただしプレイヤーとしては、カサンドラに振られたのは知っていてやったことにもかかわらず結構つらかったのだが。

「ゲーム」は軽いものの例ではない。人生において重要な位置を占めることもあれば、そうではない場合もある、ということだ。アトリアさんにおいて性的な関係とボードゲームはだいたい同じくらいの重要度なのだ。もちろんこれはアイアン・ブルとの関係が軽いものだということではない。性的な関係のないボードゲームの遊び相手が人生のパートナーになることもありうるということだ。一般的には恋愛や性的な関係は人間にとってとても重要なことであり、その相手を人生のパートナーとするのが当たり前で、生きることと切り離せないかのようにされがちだが、実際には誰もがそうなのではない。この作品のシステム上ロマンスのパートナーはひとりしか作れないが、パートナーが必ずしもひとりでなければならない理由もないはずだ。

アトリアさんは「結婚」を戦略的に利用するようなことはあっても、個人的な意味合いで結婚することには興味がない。相手がアイアン・ブルならこちらの社会の文化に付き合わせる意味もない*2し、永遠にしないだろう。ブルとの会話でも「結婚しよう」という主旨の選択肢が出ていたが、最後まで選ばなかった。いや、実は試しにちょっと押してみたが、この選択は合わないと思ってロードし直した。*3

 

スクリーンショット。アイアン・ブルの後姿と、ブルに向かって語っている審問官。

突撃兵の皆がアイアン・ブルへのプレゼントをサプライズで用意している間、ブルの注意を引き付けるために長話をするアトリアさん。「考えは一致しないかもしれないが、ヴェイルは厳密に言えば物理的な障壁ではない。フェイドに反発する魔法の振動のようなものだ」と語っているが、これから終盤に登場するソラスの話を解釈するうえでかなり重要な魔法の知識だったりする。

 

スクリーンショット。相変わらずたくましいアイアン・ブルのバストアップ画像。

「だから好きなのさ、ボス。あんたは剣を振るだろ。魔法でできた妙な剣ではあるが、それでもだ」と語るアイアン・ブル。今回は魔導騎士であり、魔法を使う戦士であることはアトリアさんの重要な要素でもあるので褒められてかなりうれしかった。

 

ところでパートナーとは呼べないかもしれないが、今回のプレイでロマンスではない人生の重要な存在がいたとすれば、コールだったのではないか、と思う。
コールは強い苦痛に引き寄せられて現れる「慈悲」の精霊で、人間に憑依した状態だ。今回は人間に近い存在ではなく、もともとの精霊として安定する選択肢をとっている*4。アトリアさんは慈悲らしい感情を持っていない。しかし必要以上に残虐でありたいわけではないし、人間以外の生物には畏怖を持ち、大きく感情が揺れることはなくとも、人間でも人間以外のものであっても苦痛を与えるのは胸糞が悪い、と感じる程度の感情は持っている。人間として社会を生きるために指針となる論理、倫理を必要としているが、自分にはない慈悲の感情も理解する必要がある……と考えている。そんなアトリアさんにとってコールはかなり重要な存在だったように思う。

 

スクリーンショット。教皇ヴィクトリアの後ろ姿と、教皇に語りかける審問官。

「審問会はその役割を果たした。十分すぎる程に。今こそ剣を置き、元の生活に戻るべき時かもしれない」と語る審問官。審問会は長く存在していい組織ではないという思いとともに、正直もっと自由でありたいという思いも少なからず。サークルの生活に戻りたいはずはないのだが、この選択肢を選ぶと「元の生活に…」という発言が出てしまい、ちょっと違和感がある。



 

「招かれざる客」はオーレイ・ウィンターパレスでの有徳会議が舞台だが、クナリとの対立の激化、水面下で進行するエルフの活動、それに関係するフェンハレルの企みと古代エルフの真実、審問官の「印」の変化など、DLCで出すべきものなのかと思えるほど重要な要素が盛りだくさんだ。そして最後には審問会が存続するか否かを決断することになる。
プレイ当初からはっきりと決めていたことで、ここにも何度か書いた気がするが、今回は「審問会を解散する」ことが目標のひとつだ。

現在の探求騎士団の前身となったかつての審問会は、役割を終えたときにその剣を置いた*5、ということは物語の序盤から語られており、問題解決後に審問会の存続の決断を迫られることがかなり早い段階で匂わされている。解散してもしなくても物語そのものに大きな変化はないが、最後に存続して終わるか解散して終わるかはなかなかに重大な問題だ。そしてそれは次作で大きな違いとして表れるかもしれない。「招かれざる客」は単なる後日譚ではなく、インクイジション、審問会の真のエンディングなのだ。

 

有徳会議で問われているのは影響力を持ちすぎた審問会のふるまいである。もっとも厳しい意見を持っているのはフェレルデンのようだ。フェレルデンとしては、空の亀裂がなくなり、コリーフィウスの脅威もなくなったにもかかわらず、審問会の軍隊がいまだに領内に存在しているのが気に入らないらしい。
フェレルデンは今回の魔道士・テンプル騎士の戦争やコリーフィウスの件の他に12年ほど前のブライトの傷跡もあるはずで、その疲弊は大きい。また、かつてはオーレイとの間に戦争の歴史もあり、フェレルデンはオーレイ側からは粗野とみなされることが多く、ウィンターパレスの貴族の会話を聞く限り、一段低く扱われているきらいがある。たしかに、そんなところに立場のはっきりしない軍隊があやふやな目的で陣取っていたら問題だろう。 しかも審問会はコリーフィウスに対抗するため、気づけば強力な軍事組織の側面が強くなってしまった。平和的に存在するならそれなりの目的が必要だし、それについて周囲に理解される必要がある。*6

 

ところが有徳会議が進む中、事態は新しい局面を迎えることになる…… 長くなったので、続きはまた次回に。

 

 

 

 

*1:動画では見た。

*2:クナリには結婚の文化がない。生まれた子供が自分の両親が誰なのかを知ることもない。ちなみに今回のアイアン・ブルは厳密にはクナリ側からクナリとみなされない存在だろうが、キュンに反したいわけではなかったであろうし、クナリとしてのアイデンティティも持っていると思われる。

*3:スカイリムをアトリアさんでプレイした時には結婚していたが、あれは恋愛や性的な関係をロールプレイしたいと思ったら「結婚」という選択肢しかないというシステム上の都合による。

*4:人間に近い存在になっていると「招かれざる客」にて恋人ができる展開があり、性愛を人間性に結び付けたステレオタイプな感じがある。

*5:このような表現だったと思うのだが記録していないため不確か。大教母ジゼルが話していたと思う。

*6:こう考えているとかつてフェレルデンでグレイウォーデンが冷遇されていた理由もなんとなく納得できる気がしてくる。