無真獣の巣穴

らくがきとかゲームとかなんかそんなん。

デイルズエルフの魔道士事情を考える

この記事は以前書いたものの再掲版です。一部修正してあります。

 

【注意事項】
※この記事を書いている時点でDragon Age: Origins(以下「DA:O」)、Dragon Age2(以下「DA2」)クリア済み、Dragon Age: Inquisition(以下「DA:I」)は現在プレイ中でありクリアしていない。小説や資料集は未読。うろ覚えであることも多く、さらに個人的な推測や見解を多分に含んでおり、間違いがある可能性もあるので、注意されたし。

※ストーリーの根幹に関わるようなネタバレはないが、軽微なネタバレになる可能性はあるので、気にするのであれば読まない方がいいと思われる。主に自分用の記事だが、物語の背景を理解する助けになれば幸いである。

※ここでいう人間社会とは、基本的にテヴィンター大帝国を除くセダス大陸の諸国のことである。

※ここでいうデイルズとは、土地の名前ではなく各地で放浪暮らしをしているエルフたちのことである。

※ちなみにDA:Iにデイルズの自由戦士と称する集団が出てくるが、あれは地域としてのオーレイ領デイルズの脱走兵の集団であって、デイルズエルフとはおそらく関係がない。ややこしい。


発端

元々DA:Oの1周目主人公がデイルズエルフだったのもあって、デイルズにはそこそこ思い入れはあった。ただ、彼らの暮らしが具体的にどんなもので、どんな考えを持っているのかということ、特に魔道士の扱いについて気になり始めたのは、DA:Iでの宮廷魔道士ヴィヴィエンヌのこの一言がきっかけである。

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▲問いかける宮廷魔道士ヴィヴィエンヌ(手前)。(DA:I)

"一番弟子や二番弟子になれなかった若いデイルズはどうなるの?"

これはデイルズの魔道士について話していたときの台詞である。デイルズエルフである主人公が、デイルズはテンプル騎士がいなくてもうまくやっていけてる…といったようなことを発言したときのことだ。

これまでデイルズの魔道士は作中に何人か登場してきたが、彼らがどんな仕組みのもとでどんな暮らしをしているのか、伝承者と呼ばれる導き手が魔道士であること以外はあまり描写されていなかったように思う。もちろん、自分が見ていないだけかもしれないが。
ヴィヴィエンヌによれば、どうやらデイルズは魔道士の数を一部族につき3人程度に抑えているのだという。その他の魔道士はどうなるのか?他の部族に送られる?まさか殺す?むしろこちらが聞きたいくらいだった。

そういうわけで、コーデックスやwikiを眺めながら、デイルズの魔道士事情について考えることになったわけである。


デイルズエルフとは

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▲デイルズエルフの顔には独特の刺青が彫られている。(DA:O)

そもそもデイルズエルフとはなんなのか。
かつてエルフは高度な文明を築いていたが、それらは人間との戦いによってほとんどが破壊され、現在セダス大陸においてその地位は低い。古代エルフは不死だったと言われているが、現在のエルフの寿命は人間と変わらないと思われる。
主に人間社会で二級市民や奴隷として暮らしているシティエルフと、人間社会から距離をおき各地の森の中を移動しながら生活しているデイルズエルフに分けられる。

デイルズは各部族(部族によって差はあるだろうがおそらく一部族30~50人程度かなと思っている。正確な数は分からない。DA2以降描かれる部族が小規模になっていっている)に分かれていて、森の中にキャンプを張って原始的かつ伝統的な生活をしている。部族間の交流は多くはないようだが、10年に一度集会があるようだ。

デイルズエルフの宗教は多くの人間達とは異なるものであり、古代の神々を信仰する多神教である。人間の大多数が信仰している創造主の花嫁アンドラステはエルフの歴史とも関わりが深い。一度はアンドラステに救われ、しかしその名の下に討伐された歴史的経緯により、アンドラステに対するエルフの複雑な感情が見られることがある。
また、教会は光の聖歌(経典のようなもの)が世界のすべてに広がったとき創造主が帰ってくるのだと説いており、そのためにエルフの神々など異教に対して寛容ではない。


魔道士とは

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▲カレンハド湖にそびえるフェレルデンのサークルタワー。(DA:O)

この世界における魔道士とは一体どういうものか。
魔道士とは当然ながら魔法を使うことができる者のことである。魔道士は覚醒したままフェイドと呼ばれる精神世界(ドワーフ以外が眠るときに見る夢の世界、あの世の一歩手前とも。フェイドと現世を隔てるのがヴェイルである)へ入ることができる。
魔法の力はフェイドと関わりが深く、フェイドには精霊や悪魔が存在し、魔道士はその影響を受けやすい。悪魔と交渉して力を得る魔道士も多いが、代償は大きく、社会的に許される行為ではない。

DA:Iでは既に魔道士が反乱しサークルが崩壊しているが、それ以前、テヴィンターを除く人間社会の魔道士たちはテンプル騎士の監視の下、一生のほとんどをサークル・オブ・メジャイで過ごしていた。サークル・オブ・メジャイとは、セダス各地に存在する、魔法の扱い方を学び、研究する組織である。あるいは、魔道士の収容所である。基本的に自由はかなり制限されており、地域よっては監獄に近いところすらある。
テンプル騎士は教会に属する魔道士の監視役であり、対魔道士に特化した能力を有する。DA:Iの時点では教会から離れている。

魔道士に対する世間のイメージは、少なくとも良いものではない。魔道士が恐れられる理由は、その魔法の強力さもあるが、それ以上に悪魔に憑依されやすいところにある。悪魔に取り憑かれた魔道士は悪鬼と化し、脅威となる。そうなってしまえば殺すしかないが、それも容易ではない。
そのため、悪魔に打ち勝つことができないと判断された場合、または危険な思想を持っていると判断された場合などに静者化の儀式が行われる。
静者とはフェイドとの繋がりが断たれた者のことであり、静者になると魔力が失われる他、感情の起伏を失う。人格が大きく変わってしまうため、静者化を怖れる魔道士は多い。懲罰的に静者化されることもある。

サークルに属さない魔道士も一部に存在する。サークルに入ることを拒み逃れ続ける者、サークルから脱走した者、荒野の魔女などである。これらは背教者としてテンプル騎士から追われることになる(DA:Iの時点ではもはやこのような問題ではなく、サークルは崩壊し、秩序は失われ、魔道士とテンプル騎士の戦争中である)。
グレイ・ウォーデンの魔道士はサークルに属さず合法的にブラッドマジック(主に悪魔から授けられる血の魔法)さえ使うことができる。
そして、デイルズエルフの魔道士である。


デイルズの魔道士事情

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▲伝承者マレサリの弟子、メリル。DA2で部族の元を去ることになる。(DA:O)

さて、やっと本題、デイルズの魔道士事情である。部族の指導者で古代エルフの遺産を求め伝える役目である伝承者は、必ず魔道士である。そして師弟制であり、一番弟子、二番弟子をとる。
一部族につき魔道士を3人程度に抑えているという話が本当であれば、デイルズにおける魔道士はほぼ伝承者と伝承者候補のみということになる。癒し手という存在も確認されているが、伝承者候補を兼ねているのかどうか不明である。
何故3人程度なのかだが、単純に、扱い方を指導したり、悪鬼化したときの対処などが難しいからだと考えられる。

伝承者候補になれなかったデイルズの魔道士はどうなるのか。ヴィヴィエンヌとの会話で出てきた選択肢によれば、魔道士が不足している部族へ移るか、死んで自由になれるとある。
この選択肢が真実とは限らない。審問官がしれっと嘘をつく可能性はあるのである(DA:Oにおいて新たに部族の仲間に入った元シティエルフに対して、デイルズが子供を生贄にするのは本当だ、というような選択肢が出る。主人公の冗談だったのか、真実だったのか…)。そもそも、デイルズ主人公であっても魔道士事情にあまり詳しくないということも、やはりあり得る。たとえ魔道士であっても、どの程度まで知らされているのか分からない。

伝承者レベルとなると、要求される魔法能力の水準はかなり高いと思われる。魔法が使えるとしても、伝承者候補として弟子入りするのは簡単なことではないだろう。高レベル魔道士であれば伝承者候補として他部族に移動することもできるだろうが、並以下のレベルの魔道士はどうなるのだろうか。

死んで自由になる…というのはなかなか過激な発言だが、まったくの嘘であるとも言えない。水準以下の魔道士だからといって積極的に殺すことはないだろうが、サークルで悪魔に憑依された魔道士が殺されるように、デイルズもそのような場合には結局殺すしかないからだ。
しかし悪魔に取り憑かれるまで放置するかというと、そういうわけでもないだろう。魔法の能力が開花し始める時期によくあるのが、悪夢に悩まされるということである。悪夢に悩む魔道士の卵の姿は各地で見ることができる。
DA2において伝承者マレサリが悪夢に悩む者になんとか対処しようとする場面があるが、それは対処の術があるということでもある。伝承者の役割とは、魔道士たちの能力を危険のないように導き、育てることでもあるのではないか。そしてうまく導けなかった最悪の場合、おそらくはやはり死である。
こうして考えると、伝承者になれなかった魔道士が死んで自由になれるという選択肢も、決して間違ってはいないと考えられる。

しかし、自身の力をコントロールすることができて、悪魔に憑依されなかったとして、それだけで伝承者候補になる水準を満たしているとは言えない。普通に能力を使えるだけの魔道士はどうするのだろうか。
まず考えられるのは、癒し手である。DA:Oの伝承者ザスリアンの部族には、サークルからの脱走者で部族から少し離れて生活しているが、癒し手と呼ばれる魔道士が存在している。
魔法を使わず、別の役割について生活するということも考えられる。魔法を使わないといっても悪鬼化のリスクは依然としてあるが、サークルからの脱走者や、サークルに入れられることを拒んで逃れてきたハーフエルフでさえ受け入れようとしていた例を見ると、信頼さえ得られれば十分可能な生き方かもしれない。

人間たちに比べると、デイルズエルフたちの魔法への拒絶心や恐怖心は少ないと考えられる。少しでも魔法の兆候があればサークルに連れて行くような社会では、魔法を目にする機会が極端に少なく、人々は魔道士をまるで怪物のように考えている節がある。もちろん、サークルはそのように魔道士を怖れ嫌う人々から魔道士たちを守っている一面もある。しかしそれがより一層、魔道士たちがただの人間である事実を見えにくくしている。
デイルズの指導者は魔道士であり、魔法に触れる機会はおそらく大半の人間たちよりは多いはずである。もちろん危険性を知らないはずはないし、悪鬼を目にしたことがあれば警戒心を持つだろう。しかし、デイルズにとって魔法の力は身近なものでもある。人間社会にありがちな過剰反応が起きる可能性は、ずっと低いのではないだろうか。

ところで、魔法の才能を持って生まれてくる確率とは、どれくらいのものだろうか。印象に過ぎないが、さほど多くないのではないか。人間よりエルフの方がほんの少し魔力が伸びやすいとすれば、エルフの方が魔道士の割合は少し高いのかもしれない。とはいえ、おそらく大きな差はない(体格差はあるが、エルフと人間の間に大きな能力の違いはないと思われる)。何にせよ、魔道士が余るほどいる…ということはあまりなさそうである。

デイルズたちがある程度魔道士に寛容で、魔力が高いからといって闇雲に自由を奪ったり殺したりせず、魔道士が大量に余ってしまうということもないのであれば、彼らが持て余す魔道士とはどんなものだろうか。
人間たちがそうであるように、デイルズエルフであってもブラッドマジックへの嫌悪感はとても強いものである。ブラッドマジックとは、主に悪魔から得られる力であり、血液を使って強大な力を得る魔法である。この魔法を使う魔道士はブラッドメイジと呼ばれ恐れられており、テヴィンターを含むセダス全域でブラッドマジックが禁じられている(秘密裏に使用している魔道士は多いが…)。これに手を出したことを理由に部族から追放された魔道士は、DA2で確認することができる(それでも考え直せば受け入れると伝承者マレサリは考えていたようだ。普通はあり得ないことだろう)。発覚すればよくて追放、最悪待っているのは死であると思われる。

部族から追放された魔道士の例は他にもある。部族のやり方に馴染まず、非常に好戦的な場合である。DA:OのDLCであるAwakeningでは過激なやり方を理由に伝承者自身(元の部族においては候補であったのかもしれない)が賛同する仲間を連れて追放、というよりは分家されている。
DA:Iの突撃兵にもデイルズ出身の魔道士がいるが、詳しい事情は語られないものの、こちらもやはり好戦的あるいは奔放な性格であったのが部族に馴染まず、持て余されたのではないかと考える。部族内において、能力の制限はおそらく必須である。

追放とは少し違うが、高い能力を持ちすぎているために、伝承者では対処しきれなかった例もある。
通常、魔道士がフェイドに入る際にはリリウムと呼ばれる鉱物を使用するが、それを使わず、自由にフェイドを行き来できるのが夢見るものである。伝承者マレサリは、夢見るものの対処に困っていたようだ。元々夢見るものの能力は古代エルフが持っていたものだが、その扱い方の知識をデイルズエルフは持っていないらしい。
主人公の行動によって変化するが、結局この魔道士は部族から離れることになる。


まとめ

整理してみると、デイルズの魔道士が辿る道はこのように考えられる。

・伝承者、あるいは伝承者候補になる
・伝承者以外の役割で部族内に留まる(魔法の扱いについては制限がある可能性)
・他部族へ移動、あるいはデイルズから追放される
・部族の脅威となり、殺害される

一部族につき魔道士は3人程度…とのことだが、伝承者と伝承者候補以外にも魔法が使える者が数人程度いる場合があると考えるのが妥当だろう。ただし、魔道士としては活動しない可能性がある。

基本的に部族が対処しきれない魔道士への処遇は追放であると考えられる。テンプル騎士のように対魔道士に特化した戦士が存在するわけではないため、闇雲に殺そうとすれば部族に大きな被害が出る可能性がある。殺害が選択されるのはよほど急を要する場合のみだろう。
追放された魔道士が森を生き抜くのは難しい。仲間がいれば新たな部族を興すことができるかもしれないが、一人で生きていくのはかなり厳しいだろう。受け入れてくれる他の部族があればいいが、デイルズとは放浪の民であり、情報もなしに出会うことはまずできない。となれば行く先は大抵人間の街、貧しいシティエルフたちが住む異民族地区である。

人間社会では出身・種族にかかわらず、サークルに属していない魔道士は背教者である。テンプル騎士に嗅ぎつけられれば、サークルへ連行されることとなる。つまり、デイルズの魔道士もサークルと無関係な存在ではない。ヴィヴィエンヌが問うた、伝承者になれなかった魔道士の行き先のひとつは、サークル・オブ・メジャイだった、と考えていいだろう。
ある意味、デイルズの厄介者を巡り巡って人間社会が受け入れていると言うこともできる。審問官はテンプル騎士がいなくてもデイルズではうまくやっていると言った(選択した)が、ある意味では正しく、ある意味では間違っていると言える。

デイルズが人間社会よりも魔道士に寛容だとはいえ、デイルズはエルフの魔道士の楽園ではまったくない。生活は厳しく、戒律があり、伝承者になれる者は限られている。
それでも、サークルに入れられる魔道士たちを苦しめるのが、家族や日常生活から切り離され、常に監視されていることであると考えれば、その点についてはデイルズの暮らしはサークルより良いものだと言える。人為的に感情を奪われることもないし、信頼を得ていて、人間関係をうまくやっていけるのであれば困ることはないだろう。監視については、部族はごく狭い村社会であり、相互に監視しているという考え方もできるのだが。
安全な暮らし、魔道士同士の繋がり、魔法に打ち込み、学び、自身の能力を最大限使うことができるという点がサークルの強みであり、これを重視するのであればデイルズは魔道士にとってサークル以上に過酷で不自由な社会である。


あとがき

これまで見てきたものを参考に色々書いたが、注意してほしいのは、すべての部族について同じことが言えるわけではないということである。
部族間の交流があるため、文化や目的はある程度統一されているだろうが、デイルズの部族はテヴィンターを除くセダス全域に散らばっており、部族によって傾向が大きく異なる可能性がある。

DA:Iにおいてデイルズ魔道士の審問官は密偵であり、ラヴェラン部族では魔道士も戦闘員として活用しているということになる。ラヴェランは閉鎖的な部族ではないことが示されており、こういった方針はやはり部族によってかなり差があると思われる。

エルフは歴史的に魔法との関わりが深く、かつては皆魔道の力を持っていたとされている。そのため、魔道士の存在は欠かせないものであり、魔道士を非常に大切なものとして扱っている描写もある。しかし一方で魔道士を持て余すことも少なからず起きていると見られる。人間社会で起きるような魔法事故、暴走や悪鬼化などの現実的な問題はやはりデイルズの間でも起きる。
魔道士に非常に寛容な部族もあれば、(人間社会ほどではないにしろ)そうでない部族もあるだろう。争いを避ける部族がある一方で、進んで争う部族があるように。

また、今後作品内でデイルズの別の側面が描かれることもあるだろう。最も魔道士の扱いが酷かったカークウォールのサークルさえびっくりするような、デイルズエルフの残酷な真実がこれから発覚する可能性は十分にある。
ここに書いたことは、あくまでも現時点で分かっていることを参考に、自分が推測したことである。

冒頭の注意書きにも書いたが、記憶違いやコーデックスの読み間違いも多数あるかと思われるので、くれぐれも鵜呑みにすることのないよう、お願いしたい。



【参考】
DragonAge(ドラゴンエイジ)用語 Wiki http://www.spoiler.jp/srv/dadic/
Dragon Age: Inquisition - 公式サイト http://www.dragonage.com/ja_JP/home