無真獣の巣穴

らくがきとかゲームとかなんかそんなん。

Dragon Age: Inquisition から始めた人のためのセダスの社会知識②

 

 

前回からの続きです。

 

この記事ではDragon Age世界における魔法や魔道士について、なるべく簡単に説明しようと思います。作品をプレイしていれば自然と分かってくることではあるのですが、意外とややこしいため、理解の助けになれば幸いです。
(やや筆者の主観や推測が入っています。間違ってるところがあったらすみません)

 

Dragon Ageにおける魔法とは

 魔法とは、多くのファンタジー作品と同じく、ものを燃やしたり凍らせたり、電撃を走らせたりする能力である。回復魔法についてはシリーズ作品ごとに大きな違いがあるのだが、癒やし手というものが存在する以上、プレイヤー側が使えなくとも回復の魔法は確かに存在していると思われる。
魔法を利用した技術も多く、武器などに属性を付与する「エンチャント」も魔法技術のひとつと思われる。魔法の能力を有していない方がこの技術には向いているらしい。

魔法は色々な組織、集団、地域によって研究され、それぞれに発達している。荒野の魔女が使う「変身」、デイルズエルフの伝承者が使う「テレポート」など他にはあまり見られない独特なものもある。
セダス史上で最も高度な魔法を使用していたのは間違いなく古代エルフだが、その知識や技術のほとんどが失われている。現存する古代エルフの遺跡や遺物、文献などから魔法を研究するものも多い。
今現在において最も高度な魔法知識を有しているのはテヴィンター帝国とみられる。また、セダスには未知の組織や存在も多いため、知られざる魔法も多くあると思われる。

 

フェイドとヴェイル

Dragon Ageの世界観を語る上で欠かせないのが「フェイド」そして「ヴェイル」である。これらは魔法と非常に深い関わりを持つ。

フェイド
ドワーフ以外が眠るときに訪れる夢の世界であり、精神世界、あの世の一歩手前などとされている。覚醒したままフェイドに行くことが可能なのが魔道士である。フェイドには精霊や悪魔が存在している。
通常魔道士がフェイドへ行くには「リリウム」が必要である。リリウムとは特殊な鉱物であり、魔道士以外の者にとっては毒物である。リリウムは主にドワーフが採掘している。リリウムを使用せずにフェイドへ入ることができる魔道士は「夢見るもの」と呼ばれる。古代のエルフはこの能力を有していたようだが、現代ではそのような魔道士は非常に数が少ない。
アンドラステ教ではフェイドに「黄金の都」があり、そこに創造主がいるのだとされている。ブライトの始まりもそこに関係しているとされる。*1

ヴェイル
フェイドと現実世界を隔てるもの。これが裂けると、そこから現実世界に悪魔が出てきてしまう。これまでもヴェイルが裂けることはしばしばあったが、Inquisitionではもっと複雑なことが起きているようだ。

 

精霊と悪魔

フェイドには様々な精霊悪魔が存在している*2。かれらはどうやら感情と深く関係しているようだ。
悪魔であれば「欲望」「怠惰」「憤怒」など一応分類はあるのだが、どこからが精霊でどこからが悪魔か、それほどはっきり決まっているわけではないように思える。ただ、悪魔と呼ばれる存在は明らかに生命に執着していて、だからこそヴェイルが裂けたときにこちら側に出てこようとする。
生命あるものに執着する悪魔は、フェイドと繋がりの深い魔道士を通してこちら側の世界に出てこようとする。そして、肉体を得ようとするのだ。そうして肉体を乗っ取られた者を「悪鬼」と呼ぶ。肉体を乗っ取られるのは魔道士に限った話ではなく、魔法を使えない者や猫でさえ悪鬼と化すが、フェイドと繋がりやすい分魔道士のリスクは高い。また、悪魔が魔道士に契約を持ちかけることもあるし、力を得るために自ら悪魔と契約する魔道士も存在する。

 

ブラッドマジック

悪魔と契約した魔道士が手にする魔法、それが「ブラッドマジック」である。この魔法を使う魔道士は「ブラッドメイジ」と呼ばれる。通常の魔法であれば「マナ」と呼ばれる精神力を使うが、ブラッドマジックはその名の通り血液を使用する非常に強力な魔法である。使用する血液は自分のものでも他人のものでもよい。この力があれば、他人の心を操ったりすることさえ可能であるという。
ブラッドマジックはセダスのほぼ全域で忌み嫌われており、アンドラステ教会はこの魔法の使用を禁止している。唯一グレイウォーデンだけがこの魔法を合法的に使用することができる。*3

 

社会から見た魔道士

もう察していると思うが、魔道士はおおむねセダスで恐れられ、忌み嫌われる存在であるアンドラステ教会の経典「光の聖歌」にはこうある。

「魔力は人に仕えるものであり、決して人を支配してはならない」

アンドラステ教においては魔道士はすべてサークル・オブ・メジャイでテンプル騎士の監視下に置かれるものであり、サークルに属さない魔道士は「背教者」と呼ばれる。魔法の能力があると判明した時点で家族から引き離されサークルに連行される(大抵は子供のときに発覚する)。魔法の力を隠して生活するものもいるが、テンプル騎士に嗅ぎつけられずにいることは簡単ではない。魔法そのものを使いこなせなかったり、悪用するのも危険だが、なによりも人々は強大な力を持つブラッドメイジや悪鬼を恐れている。だからこそ対魔道士に特化したテンプル騎士が必要だったのである。

また、遥か昔にセダスを支配していたテヴィンター帝国の大賢者たちのような過ちを、二度と繰り返してはならないということでもある。セダスを幾度も脅かしてきたブライトは大賢者たちが引き起こしたものとされているのだ。このような理由により、セダスの多くの社会で「魔道士は自由にあるべきでない」という考え方が強い。例外的にグレイウォーデンであれば魔道士はサークルに属する必要がない。

北方にある現在のテヴィンター帝国においては、今も魔道士が支配階級にあり、賢者を名乗っている。現在のテヴィンターはアンドラステ信仰だが、他地域のアンドラステ教会とはまた別組織の教会を持っている。おそらく同じ聖歌を経典にしているが、解釈が異なるようだ。
アンドラステを信仰しないデイルズエルフやアヴァーなどの民族においては魔法が文化的に重要視されており、危険性は認識しているもののそこまで忌避されていない。一方クナリ族は非常に厳しく魔道士を管理している。*4

サークル・オブ・メジャイにおける魔道士の暮らし

前述の通り、テヴィンターを除くアンドラステ教において魔道士はすべてサークルの管理下におかれることになっている。魔法の力が発覚すれば強制的にサークルに連行される。自由にサークルの外に出ることはできない。
サークルには各魔道士の「聖句箱」というものが保管されており、これには魔道士の血液が入れられている。サークルから脱走した場合、テンプル騎士はこれを使って魔道士を追跡することができる。*5
魔道士には一人前になるための儀式があり、この試練を乗り越えられない者には死が待っている。また、危険と判断された魔道士は「静者」にされることがある。静者化が施された魔道士は魔法の力を失い、感情も失う。静者は感情に乏しく従順で、エンチャント技術に長けるため、管理側にとってはメリットが大きい。魔道士たちにとってはときに死より恐ろしいことであるが。

サークルは各地に存在しており、監視の厳しさなどはそれぞれに異なるが、おおむね監獄に近い。もちろん研究に没頭したいものにとっては都合のよい場所であったかもしれない。
一定以上の地位であればかなり自由に行動できる開放的な方針のサークルもあったらしいが、おそらくそこまで自由なのは少数派だろう。フェレルデンでは自由を求めてブラッドマジックに手を染めた者たちがサークルを崩壊させかけたし、カークウォールのサークルでは騎士団長メレディスによって非常に厳しい体制が敷かれ、それが結果的に大規模な魔道士の反乱に繋がった。

これらのことはInquisitionでは既に過去であり、サークルは完全にその機能を失い、魔道士たちはもはやすべてが背教者となって外に散らばった。テンプル騎士たちは教会から離れ、サークル監視の役目を失って勝手な魔道士狩りを始めている。教皇が死に、アンドラステ教会は権威を失いつつある。これがどれほど混沌とした状況であるか、想像してもらえるだろうか。Inquisitionにおけるセダスは無法地帯になりつつあるのである。

 

 

 

 

…少々長くなり過ぎましたが、だいぶ理解できましたでしょうか。自分もちょっと忘れていたので、よいおさらいになりました。本当、間違ってるところもあるかもしれませんので、そこらへんご了承くださいね。詳しくはゲームをプレイして、コーデックスをじっくり読み、登場人物の話に耳を傾けてください。すべてを把握するのは…とても難しい!そんなゲームです。
英語が読めれば、The World of Thedas を読んでみるのもよいでしょう。自分は英語が読めなくて今勉強中ですけど挫折しそうです。以上、無真獣でした!よい旅を!

 

 

musinju73.hatenablog.com

 

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*1:ちなみにドワーフは本来夢を見ることがなく、魔法を使うこともできないが、何かしらの力を借りればフェイドに入ることは可能である。

*2:創造主によって最初に作られたのは精霊だったが創造主はそれに満足せず、世界と生命を創造し、生命に嫉妬した精霊が悪魔になった…という記述があるが、アンドラステ教的な見方であり、おそらく事実としてそうだというわけではない。

*3:ただし見たところブラッドマジックに手を染めている魔道士は結構な数いる印象である。

*4:アンドラステ教的にはサークルに属さない魔道士はすべて背教者である。異民族に対してサークル収容を免除するような決まりがあるかは定かでない。おそらく異民族であっても魔道士を連行することができるが、実際にそのような描写は今のところ見られないし、抵抗にあうのは明らかで、理由がなければわざわざ兵を出すこともないだろう。居場所が分かっていても「見逃している」ものと思われる。ただし町にいて魔法など使えば異民族であっても見逃されたりはしないだろう。

*5:血液を使って追跡をするだなんて、え、それって禁じられたブラッドマジック的な技術と違うの?テンプル騎士さん?とつっこみたくならないだろうか。まあ、なんか、そういうことなんじゃないかな?と自分は思う。