無真獣の巣穴

らくがきとかゲームとかなんかそんなん。

Dragon Age Inquisition プレイ記録⑦ ロマンス「アイアン・ブル」


※この記事は大幅なネタバレを含みます。

※性的な内容が含まれます(性的な画像はありません)。ご注意ください。

 

 

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前回書いた通り、ロマンスの相手は消去法ではあるがアイアン・ブルに決定した。ブルは放っておくとドリアンと関係を持つ展開になる*1のだが、今回は審問官が先手を打ったことになる。クナリと人間という組み合わせは体格差が心配になるが、ドリアンも大丈夫そうだったから大丈夫だろう。それにアトリアさんは魔道騎士だ。魔力をフィジカルに全振りしているような上級クラスだから頑丈だと思う。

 


アイアン・ブルは突撃兵と呼ばれる軍団の隊長であり、なおかつクナリの密偵ベン・ハスラスだ。密偵であることをまったく隠していないので、初対面で自分から教えてくれる。Originsにも聞かれたことから聞かれていないことまでしゃべってくれるひたすら口の軽い暗殺者*2がいたことを思い出す。

クナリは信仰を持たず、「キュン」と呼ばれる思想のもとに生きている。人間やエルフ、ドワーフとも異なった独特の価値観を持っているが、アイアン・ブルは長らく人間社会で生きているためかこちらの常識を心得ている。

 

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個人クエストでは突撃兵をとるかクナリをとるかという選択を迫られ、今回は突撃兵を選んだ。ブルの心理的にかなり厳しい二者択一だが、審問会としては突撃兵の方が信頼はできる。審問官も傭兵たちと面識があり、特にクレムが死ぬのは見たくない。しかしクナリを犠牲にしてよかったわけでもないだろう。そして同胞より突撃兵を選んだことでブルは不本意に「タル・ヴァショス」になってしまう。キュンを捨てた存在、つまり裏切り者だ。

同胞を選びキュンを捨てない場合でも審問会には残ってくれるが、突撃兵の皆を失う上にDLCではクナリと敵対するため、ブルとも悲しい結果になりそうだ。そのパターンはまだプレイしたことがない。本編でロマンスを完遂させてもキュンを捨てないブルは審問官よりキュンを優先するらしい。まあクナリとはそういう生き方なので仕方がないのだが、なかなかつらい話だ。というかDLCでそれをやるBioWareが怖い。

ともかく今回のアイアン・ブルはタル・ヴァショスなので、きっとずっと一緒にいてくれるだろう。

 


とりあえず会話のたびにアイアン・ブルにハートマーク選択肢を選ぶ。同時進行でカサンドラとハーディングにもハートマークを選んでいたが、カサンドラにはきっちり振られてしまったし、ハーディングとはそもそもロマンスできない。…ならなぜハートマーク選択肢があるのだろうか。可能ならハーディングともロマンスしてみたかったのだが。そしてハーディングを誘惑しているとセラの好感度が上がるのだった。なんでだ。

タル・ヴァショスとなって暗殺者を仕向けられたブルに対してハートマークを選んだところ、審問官が「誰がなんと言おうとあなたはいい奴だ、それが分からない奴はバカだ!」というようなことを叫んでいて、もはや誘惑でもなんでもなくひたすら熱くてよかった。たまにはこういうアトリアさんも悪くない。

 


そうこうしていると審問官の私室にアイアン・ブルが現れる。正直、ノックくらいしてほしい。そして「アイアン・ブルに乗りたいんだろう?」的なことを言われ、本当にいいのか、分かってるのか的なことを入念に聞かれる。快諾すると、突然両腕をつまみ上げられて最終確認をされる*3。具体的には何が始まるんだかさっぱりだが、それでも承諾して「見せてほしい」と答えるとロマンス*4開始となる。具体的な描写がないので何をしていたのかは分からないが、その後とにかく大変体力消耗することが行われたらしい。一体何が始まったのか。

そういえばアイアン・ブルは審問会に来てから複数の女性(に限らないかもしれない)と肉体関係を持っており、修道女らしき人物が「今日は歩き方が変になってしまった」というような話をしていた。彼女らとも同じような「何か」をしたのだろうか。それにしてもブルは意外と審問会の一部にコアな人気がある様子である。

 

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あとから話を聞いてみると、どうもBDSM*5的な行為が行われているらしかった。少し違うかもしれないが、とにかく支配・被支配的な関係を演じるプレイであったことは間違いなさそうだ。審問官側が被支配的な役割だったようで、アトリアさんはどちらかというと支配的な方を好むのでこれはナシかな…?とも思ったのだが、よく考えてみるとこういうのも悪くはないと思えたのでそのまま続行することにした。

たとえばこのようなプレイにおいてアトリアさんが支配側を演じたらどうなるだろうか。たぶん、円満に行うのは無理だと思う。なぜなら手加減というものを知らないからだ。加虐心を解放してしまったら大変なことになるだろう。勘違いされやすいことだが、この手の関係を演じるプレイにおいて支配側を演じる方はただ加虐的な欲求を満たせばいいというものではない。むしろ被支配側の欲求を満たすための奉仕に徹する必要がある。ブルはその役割に徹しているようだ。

 

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↑セーフワードは「カトー」だそうだ。

さらにセーフワード*6もしっかり用意されている。これはクナリの作法であるらしい。Originsのスタンもモリガンとの会話でなかなか想像し難い性行為の話をしていたが、あれはモリガンを避けるために言ったことではなく、クナリにおいてこのようなプレイは一般的なのかもしれない。もしくはどんな内容であってもセーフワードを設けてあるのかもしれない。これはなかなかいいことだ。安全が保証されルールが徹底されているからこそ快楽につながる。そうでなければただの暴力になってしまう。これはBDSMに限らずすべての性行為について言える。ただ、セーフワードの説明があとからだったのが惜しい。こういうルールはやる前に言うべきだ。初回はお試しみたいなものなので少しでも嫌そうな素振りを見せたら直ちに中止するのかもしれないが。

クナリは性行為についてかなりシステム化しているようだ。生殖は厳格に管理されているらしいので、これは快楽を得るためのシステムだろう。前回セダスにおいて避妊や堕胎がどうなっているのかという話をしたが、そこらへんの対策はクナリがもっとも進んでいるかもしれない。合理性を重んじる文化であることを考えても、科学的な医療もそれなりに進んでいそうだ。ただしクナリが重視するのは個でなく全体であり、性役割もかなり固定されているのでいいことばかりではないはずだが。

 


この時点ではアイアン・ブルとの間に恋愛感情というものは存在しない。クナリは愛のために性行為をしないのだという。何も知らずにブルを選んだので完全に偶然だが、アトリアさんにとってもっとも相応しい相手だったかもしれない。この関係はロマンスではなく、自身の快楽のため*7でもなく、ブルにとって奉仕活動のようなものだ。性的なアトラクションを提供している感じだろうか。対価としてこちらからは何をすればいいか聞いてみたが、いらないらしい。居場所を提供されているからだろうか。他のものに対しても日頃のストレスから解放するためにこのようなことをするのだという。

 


しかしやはりアトリアさんが性行為で被支配的な役割を演じるのは納得がいかないところがある。女性審問官が被支配側というのはステレオタイプにも感じる。ブルはバイセクシャルなので男性審問官でやるのがよさそうだ。実は本当はクナリの男性審問官を作る予定だった。キャラメイクに満足できず、面倒になって急遽アトリアさんを作ったのだった。そのままクナリでプレイした方が受け入れやすかったかもしれない。

ブルに棒で叩いてくれと言われるイベントがあるのだが、そのとき思いきり叩いてあげればよかったなと後悔するばかりだ。アトリアさんは手加減を知らないが、あの場合手加減せず叩いた方がブルも喜んだだろう。

まあ審問官がブルとの行為で被支配側に回るのは日頃権力者として支配側に立っているからでもある。こういった非日常的なプレイはいつもの役割を逆転させることで満たされるという側面があって、ブルはそれをよく心得ているようだ。

 

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↑これも悪くないと思う。

 

さて、正直このままの関係で全然問題ないのだが、そうなるとロマンスのクエストが完遂できないのでゲーム的に中途半端だ。それにあまりにもアトリアさんに相応しい関係なので、デミロマンティック的な、まれな関係を築きたい気持ちになってきた。クナリにとっても深い関係を築くのはまれなことなのだという。アトリアさんのセクシャリティはクナリ的には普通なのかもしれない。本気を示すためにはドラゴンの歯をふたつに割って贈るのが伝統らしい。関係を深めるためにドラゴンの命を奪うのは野生生物に対して敬意を持っているアトリアさんにはちょっとつらいが、集落のあるあたりにいるドラゴンはどっちみち倒さざるを得ないため、それほど問題はない… というかすでに持っているのであった*8。早速、ブルに贈ることにする。

 

 

…それにしても、ドラゴンの歯を割らねば本気を示せないのなら、クナリにおいて深い関係はほぼ実現不可能ということかな?

 

 

 

またまた長くなってしまったので続きはまた次回にしておこう。

 

 

 

*1:審問官が別の誰かとロマンスしている場合のみ?

*2:ゼブラン・アライナイ

*3:もっと説明と考える時間がほしいとは思う。

*4:この時点ではそう呼んでいいか疑問だが。

*5:Bondage 束縛、Discipline 懲罰、Sadism 加虐、Masochism 被虐 の略。

*6:行為をやめてほしいときに使う言葉。これを言われたら行為は中止されなければならない。

*7:完全に自分の快楽と関係ないわけでもないだろう。クナリにおける役割の徹底は意に沿わないことを無理矢理させることではなく、本人にとって向いていることを役割とするといったものなので、行為によって快楽を得ていることと矛盾しない。

*8:ちなみにこのドラゴンはアトリアさんがほぼ1人で倒した。魔道騎士は攻撃を続ける限り障壁で身を守るため、激しく攻撃していればほとんど無敵だ。他の皆はずっと倒れていて、復活させてもすぐ倒れるのでもうそのままにしておいた。ブルは倒れたままで叫んでいて面白かった。

Dragon Age Inquisition プレイ記録⑥ ロマンス

※この記事には軽微なネタバレが含まれます。

 


さて、Inquisitionでは仲間の誰かと恋愛することが可能だ。「アトリアさん」というキャラクターは他の色々なゲームでプレイしていて、恋愛や結婚の要素がある場合は必ずパートナーを作ってきた。今回も誰かしらパートナーがほしいだろう。

 

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アトリアさんは性愛において相手の性別を条件にしないパンセクシャルだ。ついでに性愛の対象が一人に限定されないポリアモリー的な傾向もある気がするのだが、それを「同意の上で」実行できるゲーム作品にめぐり会えていないため、とりあえずパートナーは1人に限定されている*1

いわゆる恋愛感情的なものはあまり持ち合わせていないように思う。性行為は基本的に愛情表現のためではなく趣味として嗜んでいる気がする。まったく相手に何の感情も持たないというわけではなく、友情はあるだろうし、愛着みたいなものがそれなりにあるときはあるし、パートナーに対しては強い信頼を持っていると思う。非常に強い信頼がある場合にまれに恋愛感情を抱くことをデミロマンティックというらしいが、デミロマンティック・パンセクシャル、と言い表せるかもしれない。*2

恋愛指向は性的指向と必ずしも連動しない。アトリアさんはその切り分けがはっきりしている(パートナーとして精神的つながりを重視する相手と、性交渉を楽しむ相手が一致しない)ように思うのだが、そこまで想定されているゲームには出会ったことがない。趣味を楽しむ相手と強い精神的つながりを持って生活を共にする相手とが違うのは、そんなに不思議なことではない気がするのだが、あまり一般的ではないらしい。

 


こうしたキャラクターのセクシャリティは最初から想定しているわけではなく、プレイしながらなんとなく決めていく感じだ。今回のアトリアさんは他のゲームで何度も作っているため、こうした設定が最初から固まっているに過ぎない。プレイしながら手探りでキャラクターの人格を作り上げていくより楽なのだが、作品によってできることに限りがあるので、なかなかこの設定を発揮させられないことも多い。最近のゲームでは同性愛くらいは普通にできるものが多くなったが、正直もっと多様性がほしい。ストーリーやシステム上難しいこともありそうだが。

ちなみに、中の人である自分自身のセクシャリティと関係あるのかというと、特に関係はしていない。ただ、自分自身の考え方が反映されているとは思う。たまに自分自身とかなり一致しているキャラクターを作ることもある。しかしそれだと何周プレイしてもロマンスしないで終わるため、ゲーム的にあんまり面白くないのである。

※この部分については補足と反省が必要だと感じたため、別記事に書きました↓

Dragon Age Inquisition プレイ記録・番外編 補足と反省 - 無真獣の巣穴

 

 

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↑DA2のアンダース。サークルから脱走した後アマランシンでウォーデンになり、カークウォールに流れ着いて難民の支援などをしていた…のだが。


ところで、セダスでは一般的に妊娠や性病の問題をどうしているのだろうか。少なくとも性病の治療は魔法でできるらしく、Dragon Age 2 でアンダースがやっていた*3。薬を使う医師的な存在がいるのも確かなので、そのようなものに頼ることもあるだろう。というかその方が普通なはずだ。アンダースがあれだけ難民に頼られていたのは、かれらがそうした存在にアクセスできなかったからだろう。

避妊や堕胎も現実の歴史にあったような方法が試されているだろうが、魔法でかなりなんとかなりそうに思える。アンドラステ教会が堕胎を禁じているという話はなく、そこらへんの知見はそこそこ進んでいるかもしれない。アンダースが癒し手として性病治療から出産まで扱えていたところを見ると、サークルにそのような知識の蓄積があることは間違いない。もちろんアンダースが特別だった可能性もあるが、出身を考えても*4特殊な経験があるようには思えず、やはりサークルで得た知識を使っていると考えるのが自然だ。科学的な医療はまだ発展途上らしい*5描写もあり、スカイホールドの外科医とのやりとりを思い出すと、基本的にセダスの高度な医療の担い手は魔道士の癒し手かもしれない。ただそれにアクセスできるのは一握りの恵まれたものたちだけであろうし、奔放な性交渉にはそれなりのリスクが伴うだろう。

とりあえず、今回のキャラクターは本人が元サークルの魔道士であり、ゲームシステム的には癒し手と呼べるクラスがないのだが…想定としては癒し手なので、大抵のことはなんとかなるだろう。

 


話がそれたが、まあとにかく相手の性別は問わない。上記の通り細かい設定は色々あるのだがそれをゲームで実現できるとは限らないので、とりあえず相性がよさそうな相手を探すのみだ。Inquisitionで人間の女性主人公がロマンスできる相手は… セラ、ジョゼフィーヌ、カレン、ブラックウォール、アイアン・ブル、この5人だ。この中で相性がよさそうなのは…セラとアイアン・ブルだろうか。

ジョゼフィーヌも悪くはないのだが、かなり家や家族を大事にするタイプのようで、ひたすら実家が嫌いで放浪していたい*6アトリアさんとはあまり合わなそうな気がする。カレンとブラックウォールはヘテロセクシャルで、なんと言っていいかわからないが、住む世界が違うな…という感じがしてとっつきづらかった。

 


アトリアさんは基本的にそんなに真面目なタイプではない。本来利己的で、関心のおもむくまま自分の好きなことばっかりできたらそれでいいと思っている。ただ必要な仕事を任されたらそれを完璧にこなしたいという意識も持っているし、審問官をなんとか公正にやっていこうとしているのはそれが今の状況にとって重要なことだと理解しているからだ。もちろん、その方が対外的に面倒が少なく、地位がないよりはあった方が何かとやりやすいからでもある。しかしロマンスはプライベートなので、パートナーはとにかく面白い奴がいいと思っているだろう。特に審問官の仕事はやたらストレスが多い*7ため、自由を好むアトリアさんにはストレス発散できる相手が必要だ。その候補がセラとアイアン・ブルというわけだ。

 

 

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……それはそれとしてカサンドラを誘惑してみたが丁重に断られてしまった。彼女はヘテロセクシャルなので仕方がない。分かっていて当たって砕けてみたが割と切ない。カサンドラは少々頭の固いところもあるがそれを自覚して過ちを正そうと意識しているところが尊敬できるし、なによりタフで気性が激しい。しかも本好き*8なので趣味も合いそうなのだが、どうしようもない。まあ中の人が好きなだけだが。ちなみに、前周のプレイではカサンドラとロマンスしている。

 

 

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まず第1候補のセラについて考えてみる。セラとは比較的相性がよさそうだと考えていたのだが、会話するたびに言い合いめいたことになり、毎度地味に好感度が下がってしまってロマンスに持っていくのが難しい様子だった。一緒に顧問にくだらないいたずらを仕掛けて楽しむなどは問題なくできるし、貴族に対して好意を持っていないあたりは一致していて、好感度が上がるときは上がるのだが、真面目な会話になると衝突しがちだ。

「ヴェシャールの行進」では黒幕の貴族を逃したことでまた好感度を下げてしまった。向こうから襲ってこない限り積極的に殺しはしない方針なのでとりあえず逃してしまったが、貴族の悪事を見逃したのが悪印象だったらしい。まあ確かにそれはそうだ。密偵勧誘して審問会に貢献してもらった方がよかったかもしれない。さらにその後の会話で「セラにも責任がある」というような発言をしたために割と険悪な雰囲気になった。

正直レッド・ジェニーの活動についてはよく分からないことも多いのだが、誰が何の目的でしているのか分からないことに手を貸すリスクをもっと考えた方がいいのではないか、とアトリアさんなら考えるだろう。生真面目な責任感は持っていないが、業務を完璧にこなしたいプライドがあるためだ。中の人としてもまるでSNSの人探しに協力してしまうような危うさ*9を感じる。ただ審問会にセラを引き入れて活動にかかわっている以上、後ろ盾として責任を持ち、リスク回避の対策を立てるべきは審問官の方だったかもしれない。と考えると、セラには少し言いすぎたような気がする。

 

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↑今も綺麗な小箱で遊んだり盗品を埋めたりしてそうではあるが…

さらに気になるポイントとして、セラの年齢がある。言動からしてかなり若そうとは思っていたが、10年前のフェレルデンの救世主の記憶がおぼろげなレベルとなると、18〜22歳程度なのではなかろうか。アトリアさんは想定が27〜34歳程度*10なので、相手としては少々…若すぎるかな、と思う。残念ながら今回セラとは合わなそうだ。

ちなみにセラとのロマンスを諦めたあとのことだが、ミサールの神殿から帰った後に話をしたらまた言い合いになってしまった。アトリアさんは基本的に創造主やアンドラステへの信仰心をまったく持っておらず、エルフの信仰には敬意を払っているというスタンスなのだが、そこらへんが致命的に合わないらしい。

セラは堅苦しい規範に従うのは嫌うが、意外にアンドラステを信じているようだ。シティエルフは改宗を条件に異民族地区に住むことを許されたという歴史的経緯があるので、エルフがアンドラステへの信仰を持っていること自体はさほど意外ではない。それでもここまで教会と相性の合わなそうなセラが信仰を持っているというのは、やっぱりちょっと意外だ。信仰心が厚いというよりは、「物事をシンプルにとらえたい」という心理によるのかもしれない。セラは孤児として人間社会で育っているため、そもそもエルフ的な文化にそれほど馴染みがない。それなのに見た目から「エルフらしさ」を求められたり、勝手に「エルフらしく」扱われたりする場面があったであろうと想像すると、エルフの文化を強く嫌っている様子も理解ができる。

一方アトリアさんの方は出身が教会とかかわりの深いトレベリアン家でありながら、自由を求めるタイプの元サークル魔道士であるため、教会のことは抑圧の権化としか見ていない。物語より事実を好むという性格もあって、アンドラステ教には否定的な感情を強く持っているはずだ。不本意とはいえ教会と関係の深い貴族という立場上、マイノリティのエルフ文化を軽視するのはかなり抑圧的な態度になってしまうため、セラの意見には同調しづらい。さらにアトリアさんは自然に対する畏怖を持っているキャラクターであるため、どちらかというとエルフ文化の方に親和性が高い。しかもセラは魔法に対して非常に強い恐怖を抱いている。合わない要素が多すぎる。

まあ反目し合いながらのロマンスというのもなかなか熱い*11ので意見は合わなくてもいいのだが、とりあえずストレス発散にはならなそうなので今回は見送ることにした。セラとのロマンスもかなり気になるので、機会があったらぜひやりたい。審問官はどうしても審問官なので、若干威圧的な存在になりやすく、若い庶民派のセラと向き合うとなんだか支配的な構図になりそうな気がしてしまう。セラだから大丈夫かもしれないが。やるときはかなり若めの審問官を作ろうと思う。

 

 

 

というわけで、自動的に相手は第2候補のアイアン・ブルに決まった。これが色々興味深く、また色々複雑なこともあり…… 長くなりそうなのでそれは次回ということで。

 

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↑スカイホールドの書物を物色してストレス発散するアトリアさん。ひっそりと存在するこの部屋、いかにも何か起きそうだが特に使われる場面は無かった気がする。この場所に関連するイベントがあるのだろうか。ここでコーデックスを読んだりすると雰囲気が出そうだ。

 

 

*1:Originsで作ったアトリアさんはレリアナとゼブランの二股をかけていたが、ゼブランにやんわり指摘されてレリアナを諦めた。これは双方の同意を得た関係ではないのでポリアモリーというより普通の二股。ポリアモリーな関係を築くときはそうでない場合と同じように相手との同意と誠実さが必要だ。

*2:ややこしいと思うかもしれないが、現実に性のあり方は複雑で多様なものだ。アイデンティティセクシャリティなどを表す用語は変化が速く、どんどん新しいものが増えていくため、自分でもついていけないところはある。しかし自身の状態を表す「名前」があるということがマイノリティにとっては非常に重要な場合がある。自らを知り、それを表すために新たな言葉はどんどん増え、より利便性を高めるために変化していく。細かい用語をひとつひとつ覚える必要はなく、こうした概念があるということと、現実に多様な人間が生きているということを頭の片隅に留めておいてほしい。

*3:性病の治癒をアンドラステに祈ってる人もいた気がするが、さすがにそれに効果があるとは思わない。

*4:書籍The World of Thedasに書かれている。フェレルデンの農村出身だそうだ。彼は12歳でサークルに入った。この本をもっと読めば世界観の理解が深まるのだが、全部英語…全部英語だー!!

*5:アンドラステ教会的には解剖学を異端と見ているらしく、宗教的な理由で科学的な医療がなかなか進まないという側面がありそうだ。

*6:ただしずっと移動生活ではなく、拠点となる場所がいくつか必要なタイプ。アトリアさんは一ヶ所にとどまる時期とふらふらしている時期がほしいのだ。

*7:宗教的なアイコンとしてまつりあげたり突然責任者にされたりな上、戦略を決めるのも指示を出すのも危険な現場で動くのも審問官だ。おまけに囚人の裁判まである。審問官に命かけさせすぎ、なんでもやらせすぎだ……

*8:アトリアさんは本が好き。別のゲームでは書籍の収集家をしていた。フィクションよりはノンフィクションが好きそうだ。カサンドラは前者の方が好きそうかな。

*9:一見助けたくなるような内容であっても実際に何の目的で人を探しているかは分からないので、SNSでの人探しは基本的に協力するべきでない。最悪の場合探し当てられた人物は殺されるかもしれないのだから。

*10:当初の想定がOriginsで救世主にならなかったバージョンの魔道士主人公の10年後、というものだったため。Originsの主人公は明確な年齢設定はないものの、話の内容からそこそこ若いような気がする。まあInquisitionの魔道士主人公はトレベリアン家の出身なので想定は崩れたが、年齢設定はそのまま残った。

*11:Dragon Age 2 には敵対ロマンスというものが存在した。あれはかなり面白いと思う。

Dragon Age Inquisition プレイ記録⑤ 再び「座して待つ」トム・レーニアを裁け!


※この記事ではキャラクターについての重大な秘密が暴露されているため、作中で真実を知りたい方は読まないことをおすすめします。

 

 

 

 

 

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これまで審問官による裁判について書いてきたが、この人物について書かないわけにはいかない。罪人、トム・レーニアだ。トム・レーニアはとある貴族の一家を部下に命じて皆殺しにさせた罪で、オーレイにて処刑されるところだった。それまで逃亡中だったが、部下が公開処刑されるのを止めに入り、自らが命を下した本人だと宣言し捕らえられた。審問官は交渉によってオーレイに特赦を要求し*1、スカイホールドに連行。審問会で裁くこととなった。なぜこのようなことまでして囚人を連れてきたのかというと、この人物こそ審問会にグレイ・ウォーデンとして参加し、審問官と行動を共にしていた「ブラックウォール」だからだ。

 

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トム・レーニアはウォーデン「ブラックウォール」を名乗って審問会に参加していたが、実は正式なウォーデンではない。嘘だったのだ。本物のウォーデン・ブラックウォールに徴兵され洗礼の儀式の準備をしていたが、ブラックウォールはモンスターに襲われて亡くなってしまったのだという。結果、ウォーデンになれず1人取り残されてしまい、行くあてをなくしたようだ。他の仲間をあてにしようにもその場にはおらず、またブラックウォールを殺害したのは自分ではないという証拠も持っていなかった。そして過去の名前を捨て、ウォーデン・ブラックウォールの名前を使って各地で「善行」をしていたらしい。

そこでなぜ本名を捨て他人の名前を名乗るようになったのかだが、おそらくそもそもが罪人だったからだろう。グレイ・ウォーデンの肩書を正式に得ることができたのであれば処刑されることはなかろうが、それが挫折してしまった。かれらが罪人を徴兵するのは何ら珍しいことではなく、むしろそういった例は多いらしい。今回のInquisitionにつながるOriginsのプレイではドワーフの主人公が階級を偽って闘技場に参加し、その罪で処刑されるところを徴兵されている。前回も書いたが、ウォーデンの徴兵権は非常に強力なのだ。

ところが、トム・レーニアは儀式の準備の途中で上官を失い、新兵として正式に参入できずに1人になってしまった。肩書きがなければ結局ただの罪人のままだ。それで、ウォーデン・ブラックウォールを名乗るようになったのだろう。

 


ブラックウォールの肩書と名前を利用して悪事を働いていたわけではなく、むしろ善良であろうとしていたようだが、審問会においてウォーデンを名乗って活動し信頼を得ていた以上、その嘘の罪は軽くはない。さらには審問会への協力を募るために古の協定を利用しようともしていた*2。実際にはウォーデンではないにもかかわらずだ。今回は回避したのだが、偽物のウォーデンと共に古の協定を利用してしまったとなれば、審問会の信用に大きな傷がつくことになるだろう。

オーレイで処刑されることになっていた罪状についても考えてみよう。当時、オーレイでは女帝セリーンとそのいとこのギャスパール大公が権力争いをしていた。トム・レーニアはオーレイの帝国軍の隊長だったが、高い報酬を目当てにギャスパール側につき、セリーンの有力な支持者であった貴族の殺害を請け負った。そして部下たちに何の説明もせずに貴族の殺害を実行させた。本人曰く、貴族が連れているのは兵だと想定して部下たちに皆殺しを命じたが、実際には子供含む家族連れで、結果的に罪もない貴族の一家を皆殺しにしてしまったのだという。実行した部下たちは捕らえられたが、自身は逃亡。その後ウォーデンに徴兵された。

 

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まとめてみるとなかなかに卑劣な行いだが、貴族の殺害については審問会も似たようなことをまったくしていないとは言えない。金のためか大義のためかという違いはあるかもしれないが、策略のために有力者を殺しておくというやり方は我らがスパイマスター・レリアナが得意とするところだ。今回の審問官が積極的にそのようなことを命じたことはなかったかと思うが*3、情報を得るためや邪魔者を排除するために暗殺をしていないとは言い切れない。

金のためだろうが大義のためだろうが人殺しに変わりはない。どんな理由であろうと、襲ってくるわけでもない相手を殺していい理由にはならないはずだ。トム・レーニアが裁かれる一方で審問会のやることは何も問われないのだとしたら、勝者たる権力者側がやるのは許され、そうでなければ重罪だということか。あるいは大義さえあれば何をしても許されるのだろうか。本人も言っていたが、時の運があればこの行為が歓迎される可能性すらあっただろう。そんなものかもしれないが、なんともこの世の不条理を感じる。

 


ただ、それでも子供を含めた家族まで殺す必要はなかった。ターゲットにされていた貴族本人も裏でなにか卑劣なことにかかわっていた、という事情があるわけでもなかったようだ。被害者は単純に政敵の支持者だからという理由で家族もろとも殺された。部下たちは命じられたままに行動しただけで、命じた側は家族の同行は知らなかったという話だが、証拠があるわけでもない。殺されたのが家族でなく部下の兵だったとしても、何をしたわけでもないのに殺されるいわれはない。命令を実行した部下だけに責任を負わせ、隊長でありながら逃亡したことを考えても、これについて酌量の余地があるとは言えないだろう。ただ、トム・レーニアもまたオーレイのグランドゲームの加害者であり被害者でもあるとは言える。オーレイの貴族間ではこのようなことがいつも繰り広げられていて、そこに構造的な問題がある。

 


トム・レーニアに対する選択肢は「自由にする」「ウォーデンにまかせる」「嘘を続けさせる」となっている。嘘を続けさせるということは、過去のことは無かったことにして「ブラックウォール」として今まで通りに受け入れるということだろう。見て見ぬふりといったところか。自身の罪を認め、処刑されると知りながらオーレイに出頭したことを考えると、これは本人のためになる選択肢とは思えない。「処刑」や「投獄」が存在しないが、まあそうしたいなら引き渡しを要求せずにオーレイに置いてくるとよい。ただし仲間を1人失うことになるので、できれば避けたい。

ウォーデンにまかせれば、その後洗礼の儀式を受けて正式に加入することになるのだろう。ウォーデンが過去の罪を問うことはないし、腕が確かなのは審問会の活動で実証済みで、特に問題はなさそうだ。儀式に失敗すれば死ぬことになるが、どのみち処刑される予定だったため、そこは本人も納得するだろう。ただしウォーデンには穢れを通じて操られやすいというリスクがあり、今までの物語の展開を考えると新たなリスクを増やすことに協力するのも複雑だ。ブライトに対抗するには必要な組織でもあるが、そのやり方が根本的な解決にはならない、あるいは実は悪化させている可能性がなくもない。よって今回はこの選択を避けることにした。

そして残った選択肢は「自由にする」だ。今回はこれを選ぶことにした。オーレイでの罪、審問会に対する罪を考慮するとだいぶ甘く感じられるが、自由にすると言っても無罪放免ではない。ブラックウォールではなくトム・レーニアとして償いのために審問会につかえよというわけだ。これまで下してきた判決がだいたい「投獄」か「(審問会のための)労働」だったことを考えると、一貫性がないということもない…と思いたい。本人は罪を認めて出頭しているし、自らの行いが卑怯だったことを悔いているのも明らかで、部下が処刑されるのを1人で止めに行っている。またこれまで善良であろうと努めていた実績もあり、同じことを繰り返さないという意志があることは間違いない。それに審問官と共に戦うということは、審問会が目的を果たすまで危険な任務から決して逃げられはしないということだ。

 


しかし、やはりどうしてもウォーデンのルース卿のことが思い起こされる。後世へのメッセージとしてであっても無期限にあの牢獄へ放置するのは残酷に過ぎるし、また機会さえあれば社会への貢献を惜しまない人物でもあったはずだ。せめてスカイホールドの牢獄がもう少しマシなら……。

ところで、トム・レーニアが収容されているときにオーレイの牢獄を訪れたが、あまりのまともさに感動してしまった。何しろちゃんとした床と天井がある!ただやや蜘蛛の巣が多く、管理が行き届いているというほどではなさそうだ。それでも粗末ではあるが一応の寝具もあり、監視も見る限り複数人いる。もちろん素晴らしい環境とはとても言えないが、スカイホールドのそれに比べたら圧倒的にマシな空間だ。いつ崩落するか分からない牢獄に囚人を押し込めておくのは、それだけで拷問に匹敵する。審問会はぜひこの点を見直してほしい。

 

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↑しっかりした作りの牢獄。素晴らしいとは言い難いが、スカイホールドよりはるかに安定している。少なくとも床が抜け落ちて落下死する心配はないだろう。

 

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しかしオーレイでは公開絞首刑が行われているようで、見物人も多く集まっていた。しかも処刑されようとしていたのは実行犯の1人ではあるが首謀者ではない人物だ。下っ端を見せ物的に処刑して「罪を裁いた」演出だけするのは根本的な解決からもっとも遠く、そこはあまり見習いたくないなとアトリアさんは思ったかもしれない。

 

 

 

 

 

*1:オーレイからトム・レーニアを引き渡してもらうには他にもやり方があるが、別の誰かとすり替えるとか軍を出すとかだった気がする。まっとうな組織がすることではない…アトリアさんは表向き公正であることを望んでいる。まあ権力を振りかざして囚人を解放させるのもまっとうなやり方とは言えない気もするが、処刑されると困るし。

*2:アトリアさんは薄々怪しんでいたので協定は使わなかった。アトリアさんは賢明なので。中の人が3周目だからお見通しなのだ。

*3:今回の戦略テーブルでは基本的に交渉を使い、密偵は偵察や少人数での敵の討伐に専念させて暗殺は選ばない……黒カラスの協力者は使ったが。ただし、結果的には黒カラスを抜けたゼブランが協力してくれた。兵を使うことは多くはなく、大規模な探索や後片付けの他はもっぱら細々とした資金調達のために派遣している。