無真獣の巣穴

らくがきとかゲームとかなんかそんなん。

Dragon Age Inquisition プレイ記録④ 続「座して待つ」審問官による裁き


※この記事はメインクエストのネタバレを激しく含みます。

※肝心のイベント場面のスクリーンショットが全然撮れていないので微妙に関連のあるスクショを添えてお送りします。(元画像が暗いため見やすいように調整してあります)

 


前回はクレストウッド村長とサーニアのプーランについて書いた。どちらも限られた選択肢の中で人々のためにやれることをやったという側面はあるのだが…。やはり「事実を隠匿しない」「同じことを繰り返さないという意志」「改善の努力」という反省の姿勢が致命的に欠けていた。特にプーランは人身売買によって利益を得ていたので、無罪放免にして生活に行き詰まったら同じことを繰り返してしまいそうだ。

それにしても判決を出してはみたものの、投獄や労働というのがどの程度の期間でどういう環境に置かれるのかがさっぱり分からないため、本当にこれでよかったのかと思わないでもない。クレストウッド村長が投獄されたフェレルデンは現在アノーラ女王が治めていて、囚人を劣悪な環境に置くことを許すとは思わないが、実際はどうだろう。労働というのも気になる。何をするのだろうか。まさか生きて帰れないような過酷な労働を課すのだろうか。

まともな組織ならたとえ罪人であろうと痛めつけることはしないと思うのだが、果たして審問会はどうか。「判決は言い渡したが具体的にどこで何をするのかは知らなかった。自分に責任はない」などと言えない立場であることは審問官も肝に銘じておくべきだろう。強制的に最高責任者に据えられて何もかも丸投げされているので、酌量の余地はあると思うが。

 

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投獄したことでもっとも複雑な気分になった囚人といえば、グレイ・ウォーデンのルース卿だ。ルース卿はブラッドマジックの儀式のために仲間たちを殺したのだという。提督クラレルの命令に従って行った組織的な過ちだが、間違った行動であったと深く反省し、打ち首による処刑を望んで自ら出頭した。

グレイ・ウォーデンはブラッドマジックの使用を容認している極めて珍しい組織だ。ブライトに対抗するという組織の性質上、使えるものは何でも使うという方針で、ウォーデンのルール上ブラッドマジックの儀式に参加したこと自体は問題なさそうだ。かれらは必要とあれば悪魔さえ使う。問題は仲間を殺したのが必ずしも同意の上ではなかったであろうことと、そもそも儀式の目的が間違っていたことだろう。かれらは偽物の「呼び声*1」に翻弄されてヴェナトリに騙され、無意味に多数の仲間の命を奪った上、世界の破滅に貢献するところだった。

ウォーデンは王族に対しても徴兵権を行使できるなど非常に強い権限を持った組織でもある。それはセダスの各勢力と交わされた古の協定によるものだろう。そんなウォーデンを審問官が裁いていいのか分からないが、発足したばかりの審問会に協定は関係ないのかもしれない。そこは審問官の考え方次第で、やったもん勝ちみたいな感じだろうか。まあウォーデンは過去にフェレルデンから追放されたりもしているし、この裁判以前に審問会が過ちを犯したウォーデンの処遇を決めてしまっているのだが。とりあえずこの裁判は意図がどうであれ「審問官はウォーデンさえ裁くぞ!」というさらなるアピールとして機能してしまうかもしれない。

 

ルース卿に対する選択肢は「地底回廊」「裁かない(釈放)」「投獄」「処刑」といったところ。グレイ・ウォーデンの歴史と功績に敬意を表するなら裁かないのがよさそうだ。そもそも提督を信用して積極的に協力したものたちは他にもいるはずで、それを認識した上でウォーデン全体に「審問会に協力せよ」と言い渡したのだから、ここで個人を裁く必要がそんなにあるとは思わない。

しかし本人が言うように「あれは過ちだった」というメッセージを示すべきだというのは説得力がある。「ブライトと戦うためならブラッドマジックや悪魔さえ使う」という性質をもって強力な徴兵権を行使できるウォーデンは常に暴走の危険を抱えている。「いくらウォーデンでも許されない行いはある」というメッセージを後世に残すのは意義あることだろう。

それにしても打ち首というのはどうだろう。後世に必要なメッセージを残すために自ら見せしめとして死のうというのだから本当にそれは凄いのだが、そんな見せしめを堂々と実行してしまう審問会は危険な存在になってしまわないだろうか。このような人物はむしろ頑張って社会に貢献してほしいのだが、確かに後世に教訓を残した方がいいとは思うので、ここは「投獄」を選ぶことにした。

ウォーデンらしく地底回廊で戦って死ぬべし、というのを選んでもいいかもしれないが、ウォーデンの穢れの性質を考えると最期に地底回廊へ行く慣わしは本当に大丈夫なのか疑問に思う。無事に死ねたらいいだろうが、死ねずにいると操られたりしないだろうか。生きたまま捕らえられ「変えられて」しまったらダークスポーンを量産することになってしまう*2。深く考えるとあまり選びたくない選択肢だ。

しかしこの「投獄」だが、「無期限」となっているのだ。ルース卿に対しては重すぎるように思う。しかも、スカイホールドの牢獄は本当に状態が悪い。期限付きでもあそこに入るくらいなら処刑された方が若干マシなのではと思えるくらいひどい。あのまま使っている審問会が理解できない。直せないなら他に作るとかしなくていいのか。まともな組織を目指すなら、審問会はまず牢獄の環境をもっとマシにするべきだ。ルース卿には本当にすまないことをした。

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↑スカイホールドの奥の方の牢獄。安定していそうな床がほとんどない。部屋の中は石の床が存在するので多少マシだが、様子を見にいくのも命懸け。

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↑投獄されたルース卿。この部屋には寝具らしきものも見当たらない。ちなみによくよく見ると光が差し込んでおり、天井が抜けているような気がする。

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↑向かい側にある部屋の方が若干マシである。せめてこっちに入れればいいのに…

 

 

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もう一件、大公女フロリアンヌの裁判はなかなか興味深かった。大公女はオーレイの女帝セリーンの暗殺を企てていた真犯人だ。コリーフィウスの下で世界を手に入れたかったらしい。野心的な、絵に描いたような悪役だ。

コリーフィウスは社会的な立ち位置や他人の命など気にかけるようなタイプではなく、どうやらこの世をその力で支配したい古の存在だ。それに積極的に協力することは「自分に利益があれば大虐殺も辞さない」ということだろう。さすがにこれを許すわけにはいかない。ただ未遂に終わっており、すでに野望はついえている。


大公女フロリアンヌに対する選択肢は「追放」「道化師にする」「修道院へ行かせる」「密偵勧誘」「労働」だいたいこのようなものだ。道化師にするというのは嘲笑うために屈辱的な芸をやらせるのだろうか。アトリアさんも性格は悪い*3が、あまりそういうことは面白がらなそうだ。「処刑」がないのは、わざわざ処刑せずに連れてきた人物だからだろう。「投獄」がないのが少し不思議だ。

そして注目すべきは「労働」の内容なのだが、これが「市民と一緒に汗を流せ」というものなのだ。言葉の内容から、なんとなく労役や懲役のようなものとも違うように感じられる。「一般市民と一緒に普通に肉体労働して生活せよ」というふうに聞こえる。宮廷で豪勢な生活をしてきた貴族に市民生活を味わわせる。これはなかなかいい選択肢なのでは。そう思って前回のプレイではこれを選んだ記憶がある。

しかしちょっとひっかかるところがあった。市民と共に汗を流すことが懲罰であってたまるか、という気持ちが芽生えたのだ。ゲームのロールプレイは置いておいて、中の人たる自分は現役のブルーカラーだ。この国の偉い連中、1日くらいここで働いてみろと思うことも結構ある。しかし、自分の仕事場に来るのが「懲罰」だったらちょっと複雑だ。市民との労働や交流の経験によって更生をうながすと思えば悪くはないのだが、貴族に対する「屈辱」として体験させるのだとしたら結構失礼な話だ。

というわけで中の人の個人的感情により市民との労働は選ばず、どうせ働くなら適材適所になおかつ審問官の目が届きやすいところで、と考えて「密偵勧誘」を選択したのだった。ただ、市民と一緒に汗を流すことが身分の剥奪も意味するのだとしたら、やっぱり悪くない選択肢だったのかもしれない。

 


しかしクレストウッド村長やプーランが苦しい中でなんとか生き延びるために犠牲を出していたのに対して、フロリアンヌ含めオーレイの宮廷の貴族たちは「グランドゲーム」と称して日頃から当たり前のように裏側で殺しをしている。そこで犠牲になるものの多くは貴族に使われるスパイや身分の低い召使いたちだ。自ら手を汚すこともなく、それが裁かれることもない。ゲームは政治的な駆け引きでありつつ伝統文化でもあり、娯楽的な側面もある。狡猾に、うまくやるほど評価は高まる。オーレイの貴族階級の中で生きるのには必須の要素だが、「生きるため」の意味合いの違いに途方もない格差を感じる。かれらの生活は言うまでもなく一般市民や二級市民*4の搾取の上に成り立っている。この危機迫る情勢の中でさえゲームに興じているその様は、華やかなオーレイの暗部を表している。

 

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ジョゼフィーヌの個人クエストでは彼女がオーレイでバードを目指していた頃の話を聞くことができる。グランドゲームにおいては死も駆け引きの要素に過ぎないが、ジョゼフィーヌの思い出話は「殺人」が一個の人間の未来をすべて摘み取ってしまうという、ごく当たり前のことを思い出させる。そしてどんな大義名分があったとしても、審問官の日常が人殺しであることを思い知らせてくれるのだ。

多くの囚人が様々な理由で裁かれる一方、決して裁かれることのない特権階級にあるものもいる。そして着実に地位を高めている審問官もそうなりつつある。そろそろ審問会を縛る鎖も必要そうだ。

 

 

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↑ちょっと舞踏会の疲れが出ているアトリアさん。

ちなみに今回の審問官アトリアさんは一応貴族なのだが、出身が自由連邦なのでグランドゲームの経験はないようだった。舞踏会ではゲームに対するあきれた感情を持っていただろうが、負けず嫌い*5でもあり、見事に「舞踏会の麗人*6」を演じきった。中の人は3周目なのでそこそこ慣れているのだ。ダンスではとにかく直球を避け、質問は質問で返し、ひたすらまわりくどい選択肢を選ぶと高評価を得られる。よくわからないがそれがオーレイの作法なのだろう…

 

 

 

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とりあえずBioWareは牢のカスタマイズを用意してくれ…カサンドラに生きたまま食わせるぞ。

 

 

 

 

*1:本来は「死期」が迫る頃に聞こえてくるもの。ウォーデンは穢れによってアーチデーモンと繋がりを持っている。Originsではアリスターも主人公も新兵だったのでまだ穢れは浅く、アーチデーモンの夢を見る程度だったが、歳と共に繋がりが増して色々聞こえたり色々見えたりという感じだろうか。アリスターが詳しい話をしていた気がする。

*2:Originsの地底回廊でのメインクエストで判明する。怖い。

*3:大公女を見下ろしながら「私のパーティへようこそ」はなかなか尊大でよかった。

*4:オーレイのシティエルフの生活について詳細に描かれていないのだが、豊かな生活をしているならブリアラが立ち上がる必要はなかったわけで。

*5:でも急にどうでもよくなって投げ出したりもしそう。気まぐれでうそつき。ハンターハンターならたぶん変化系に違いない。

*6:宮廷の好感度100で得られるトロフィー。もちろんばっちりゲットした。